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2023.06.23

「同友会での時間が私を変えた ~歴代支部長が語る良い経営とは~」福山支部第41回定時総会(福山支部設立40周年記念総会)記念講演 パネルディスカッション

【コーディネーター】
(株)タテイシ広美社         会長        立石  克昭  氏
【パネリスト】
日鐵鋼業(株)               代表取締役  能登  伸一  氏
(有)アサヒフィルタサービス   代表取締役  宮﨑    基  氏
(株)カワムラ機工            代表取締役  河村  直孝  氏
(有)広島金具製作所          代表取締役 水ノ上貴史  氏

立石氏 いつの時代も中小企業には厳しい波が押し寄せてきていました。その中で我々中小企業がどう生き抜いてきたか、支部長さんたちが自社に学びをどう返していったのかお話していただきたいと思います。

■支部長としての取り組み

立石氏 皆さんが支部長になって会の中でこれだけは取り組んだということをお聞かせください。

水ノ上氏 私は経営労働委員会を活動の中心にすえて実践に繋げることが大事だと考えました。他県の同友会に比べ人を生かす経営の総合実践が広島は弱いのではないかと感じ、この意識を変えることが大切だと思いました。そこで挨拶や支部例会の時に伝えるなど実践していきました。

河村氏 私の時は地区会の改革をしなければいけない時でした。地区会の人数の差がありシャッフルしようという話が出た時に、盛り上がっていない地区会にその話を伝える辛い役だったなと思います。

宮﨑氏 私は他団体と「福の山フォーラム」を企画して、福山市を盛り上げるために月2回の会合を重ねました。その時に地域を盛り上げるのは中小企業なんだなと改めて学びました。また、障害者雇用に関わることで障害のある方やその親御さんの悩みなどがはっきり分かるため、力を入れていました。

能登氏 私は会員増強です。4年の中で700名を越えました。その時の支部理事がその気になって、みんなが声を掛けて700名を達成しました。

■自社の変化

立石氏 支部長になって自社がどう変わっていったかをお聞かせください。

能登氏 当時支部長を引き受けると、支部総会で所信表明を行うのが恒例でした。その時ブータン王国のワンチュク国王がGNH(Gross National Happiness)という言葉を言っておられました。社内でこれを実践するのが繁栄する一つのきっかけになるのではと思い、GCH(Gross Company Happiness)を宣言しました。そして、600社以上の前で宣言した以上、やらなければと思い業績の公開など色々と悩んでいたことに取り組みました。その結果社員の自主性が高まりました。

宮﨑氏 支部長になる1年前にM&Aのようなものに取り組みました。最初は売り上げが良かったものの、会社に土壌が無かったため資金繰りが厳しくなり、しばらくしてこの事業から撤退しました。それから、オリジナル製品を世の中に広げていこうとネットなどを使い始めました。独立した時10件のお客さんだったのが現在、1400件近いお客さんが支えてくださっています。

河村氏 私は当時新しい事業を探しており、その時同友会では隣接異業種を攻めろという話が出ていました。自社の隣接異業種は何だろうと考え、機械工具の販売だけだったのを、中古機械の買取や同友会の仲間の力を借りて修理・メンテナンスなど定価の無いものを攻めていきました。

水ノ上氏 当時自社のオリジナル製品を全国に向けて普及しており、徐々に声かけ頂くようになりました。これからと思っていた矢先にコロナ禍に入り、営業が一切できなくなり崖っぷちに立たされました。逆転の発想で支部長としての仕事は今しか本気でできないと考え力を入れました。採用やお客さんを作るなど全部同友会で勉強させてもらったなと思います。役を受けながらやっていたのも社内で人を動かす時のノウハウにもなっているなと感じます。

■人を生かす経営の取り組み

立石氏 同友会に人を生かす経営があるように社員をどう生かして経営してきたかをお聞かせください。

能登氏 日鐵鋼業で働く幸せとはという所を考えました。やりがいや働きがいがあるか、一体感があるか、個性が発揮されているか、自分が仕事をする中でスキルがあがっていることを実感できるかを定義しました。そのために、経営指針の成文化や業績公開など会社の見える化と個人面談など聞くコミュニケーション、業績公開に伴う社員への還元を徹底的に行いました。その中で、社員にとって会社は自分のものだという考えに変化していきました。会社や社長の為にではなく、自分の為に会社が良くなるように頑張るのを感じました。

宮﨑氏 長野県にある伊那食品工業という会社に行き100年カレンダーの事を知りました。そこから、新しく入ってきた社員には時間の大切さを徹底的に教えました。残業無し、有給休暇取り放題など働き方改革を行いました。その代わり、その時間を各自がどのように使うかが大事なんだということを伝えています。限られた時間の中で自分を磨いて、自分の器を大きくして、幸せになるためにどうしたらいいか考えてほしいということを思っています。

河村氏 私は同友会の討論の場などで、自分が何を言っても大丈夫という雰囲気づくりを学びました。個人面談などで何を思っているかを聞き、会社の中で自分の意見を出せるようしていきました。

水ノ上氏 私は経営者が賢くなって社員に押し付けるのではなく、同友会でよく言われる共に育つという関係性が非常に大切だと思い、社内でも実践しています。社員を信じて任せつつ、自分も同友会でしっかり勉強して、経営者と社員がそれぞれちょっとずつ成長し、木の年輪のようになっていくのが理想かなと思います。

■これからの福山支部に期待する事

立石氏 これからの福山支部に期待することをお聞かせください。

能登氏 私が思うのはJobwayのブランド化です。人を生かす経営を行っている会社が集まって力を合わせて求人をしているということを、もっと学校や学生に知ってもらいたいと思います。

宮﨑氏 コロナ禍で同友会や会社の分断化が進んだかと思います。ただ、人間同士が喜怒哀楽を出せる、腹を割って話せる組織づくりをしていかないといけないと思います。そのため立石さんがよく言われる「いこる組織」をめがけてやっていってほしいと思います。

河村氏 福山支部には630社以上います。地区会の中で仲良くするのも良いですが、他の地区会の方と知り合いになり、自分の知らないことを教えてもらうなど関わりを増やすことで仕事が増え、入会者が増える。そんな福山支部にしていってもらいたいと思います。

立石氏 水ノ上支部長にはお三方の意見を聞いて是非とも進めてもらいたいなと思います。
また、役をすることが自社をよくすることに繋がっていくと思っていますので、皆さんにも是非挑んでもらいたいなと思います。
 最後に二宮尊徳の言葉を皆さんに披露して終わりたいと思います。二宮尊徳は「道徳なき経済は罪悪であり、経済なき道徳は寝言である」と仰っています。同友会には学びが沢山あります。しかし学ぶだけでは意味がありません。実践をして実績や成果を出すのが大事なことだと思います。同友会の為に同友会をするのではなく、自社の為に同友会をしていくことで福山支部は発展していくと思います。一緒に良い会社をつくっていきましょう。今日はありがとうございました。

(記:事務局 中野)

【日鐵鋼業㈱】事業概要:鋼材卸、鉄鋼一次加工販売(2010-2013年度 支部長)
【㈲アサヒフィルタサービス】事業概要:エアフィルタ等の加工販売(2014-2015年度支部長)
【㈱カワムラ機工】事業概要:機械工具産業機器等の販売他(2016-2019年度支部長)
【㈲広島金具製作所】事業概要:オリジナル金具開発・販売他(2020年度-現在 支部長)
【㈱タテイシ広美社】事業概要:各種広告看板企画・施工等(2002年度-2005年度 支部長)