社員のやる気を引き出すには? ~備北地域のミーティング~
3月23日、オンライン(Zoom)にて備北地域のミーティングが開催され、13名が参加。3名の方から問題提起を受けグループ討論を行いました。以下は問題提起の要旨です。
■「遠いこと」と「近いこと」
㈱タテイシ広美社 立石克昭氏
「近いこと」のポイントでは、「20秒間の雑談」で、家族のこととか、ちょっとした雑談をするようにしています。社員が健康で家族の支えがあればこそ出勤して来られます。社員は、私らのことを気にかけてくれていると感じてモチベーションが上がるのではないでしょうか。
二つめは、仕事を任せること。管理は必要ですが、任せることで社員は成長します。
三つめは、今やっている仕事の意味を伝えるようにしています。お客さんがどんな人で、どういう思いでこの看板を作ろうとしているか、とか。
次に、「遠いこと」の話では、社員たちがこの会社でがんばったら、将来、例えば子どもを大学に行かせることができるだろうか、将来に不安を持つようでは、モチベーションは上がりません。今はこれだけの会社だけど、何年後にはここまでやって行こうと伝えることが大事です。経営指針書は社員のモチベーションを上げていくために必要です。
わが社の経営指針書には社員のプライベートな夢を入れています。社員の夢と会社の能力をリンクさせるようにしています。
もし私が社員だったらと、社員の立場で考えてみるといいのではないでしょうか。
■スキヤキパーティー
㈲浪漫珈琲 神原栄氏
私自身が40数年前にアルバイトとしてこの業界に入り、社員になり、店長、ブロック長と経験し、その中でつかんだことは、いい店長のもとでは人間関係が良く、売上も上がるし、いい人材が育つということです。
28年前に尾道で創業しました。その時の合言葉が「当たり前のことを当たり前に」です。これは、いい商品、いいサービスを提供するということもあります。人間関係では、自分がシュートを打つばかりでなく、いかにアシストにまわるか、またお客さんに喜んでもらうには自分はどうすればいいか、そういう風土づくりをめざしました。
以前は自分と同じようになれという人育てをやっていました。これが思うようにならない。結果、スキヤキパーティーだと思いました。スキヤキは肉ばかりだとおいしくない。優れたネギや優れたコンニャクや、みんながそういう風に集って、だからこのスキヤキはうまい。そういう感覚になって、人への接し方、育て方が変わりました。
社員教育は方程式がありません。中小企業では社長の個性、人生観が会社に反映されます。よそから見られてもいい自分になろうと思ってきました。この指とまれで人が寄ってくれる自分でありたい。
■経営方針をみんなで考える
㈱EVENTOS 川中英章氏
ビジョンを明確に示してみんなで考える、これが基本だと思います。わが社では、私は10年ビジョンと地域の方針を書いて、年度方針は社員に立ててもらっています。
同友会の『共に育つ』から学んで、自らの人生を自ら組み立てる力をつけることが社員教育だと理解しています。あまり経営者があれもこれも出さないようにしています。
ある人から、川中さんところの就業規則は自分と会社を守るためのものになっている、社員さんにとって将来が見えるようなものを作らないといけないと叱られました。お金をかけて直して、社員が選択して資格を取ることで給料を上げていけるようにしました。やる気を引き出すことになったと思います。
社員さんの生活の実態をつかんで、安心して働ける場を提供する。そういうことを経営指針書に載せるのは、自分自身を鎖でつなぐようで重たいことですが、経営者がそうやってがんばることで、社員も重い腰をあげてくれる気がします。
あと、会社が社会的に認知され、社員が誇りに思うということも大事です。
中期経営計画では、経営者が心に筋肉痛を感じるような計画を立てていかないと、社員の給料をあげていくことができず、社員は嬉しくないと思います。