有福温泉の再生 ~高い志に共感
江津市の有福温泉。団塊の世代の人たちは、1回は行ったことがあろう有名な温泉地ですが、20軒あった旅館は軒に、500人の住人は80名に激減しています。この町の再生に広島中支部の㈱EVENTOSの川中英章さんが取り組んでいると聞き、県地域内連携推進委員会のメンバ114人が11月12日、現地を訪れました。
川中さんは10年前から農村活性化事業に取り組み、広島市安佐南区の吉山に2軒のレストランを開店します。そこで培ったノウハウを生かそうと、江津市の有福温泉の再生事業に手をあげたそうです。今年の春からイタリアンの実験店として「有福BIANCO」を開店、10月1日に正式オープンし、温泉もグルメもゆっくり楽しめる「帰らなくてもいいレストラン」をめざしています。
6月に有福温泉振興会が発足、川中さんが会長に就任されました。国や県などの補助金を活用し、神楽舞台や廃業した宿をリフォーム、宿は営業中の3軒と合わせ5軒にする計画です。また、レストランで宿のフロントとセントラルキッチンを担うという泊食分離をめざしています。「ワクワク」というコンセプトもあり、働きがいがあり住み続けられる地域をつくり、10年かけて有福に住む人を増やそうとの思いです。
そんな話を聞きながら、本格イタリアンのコース料理に舌鼓を打ちました。レストランでは宿泊先の娘さん(広島の大学4年生)がアルバイトでてきぱき働いており、将来は旅館を継ぐとの決意を聞きました。宿の女将さんからは「何度か再生に挑戦したが、自分たちだけでは難しかった。川中さんと共に頑張りたい」とのお話も聞きました。
夜8時過ぎ、御前湯では20歳の若者が家族連れで入浴していました。「いいお湯なので仕事帰りに車で来る」とのことでした。参加者は、シャッターが下り人気のないメインストリートを歩きながら、川中さんの高い志と人を巻き込む力に魅入られていました。