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2021.04.27

「いまやらなくていつやるの?! ~コロナ禍だからこそ考えた!今まで出来なかった事に挑戦!~」広島エリア女性部会3月例会

報告者 (株)勝矢和裁 取締役  東 栞衣 氏

■自社紹介とコロナの影響

 私たち勝矢和裁は、『和裁』という着物を縫うことを通じて日本の伝統を紡ぎ、後世に繋ぐお仕事をしております。具体的には、国内・ベトナム両拠点での着物の仕立て。国内でプロの和裁技能士の育成です。
 お客様は呉服屋様になりますので、実際に着物を羽織る方のお顔を見る事はありません。  勝矢和裁が受けた新型コロナウイルスによる危機は、大きく分けて二つあります。一つは、ベトナムと日本を往復する飛行機が感染拡大の影響で欠航し、両拠点を往復しなければならない工程に影響が出たこと。もう一つが、多くの取引先が休業し、お仕事が少なくなっていったことです。  

■コロナ禍での挑戦

 お仕事が少なくなった今だからこそ、これまで出来なかったことに挑戦しました。ここでは、五つの取り組みについて紹介します。
 一つ目が、『和裁教室WEB版』として動画をアップ。二つ目が、テレワークの導入。三つ目が、マスク制作。四つ目が、約19㎝の人型ロボット、ロボホンの着物作成。この中でもテレワークの導入は社員さんに好評でしたが、その他の取り組みへの反響は、大きなものではありませんでした。
 そして五つ目が、着物コートの制作です。この取り組みは大きな反響をいただき、社員さんにもいきいきと関わっていただきました。この事について、詳しくご紹介します。  

■着物コートの制作でいきいきとする社員さん

 当社では、これまでも個人の着物のリサイクルを行っていました。持ち込まれた着物の多くは、親から受け継がれたものや大切な思い出が詰まっているもの。しかし、古着としての価値を付け難いものでした。何かできないかと社員さんと共に考えました。
 すると、昔の着物をリメイクした、オリジナル着物コートの制作を思いつきました。社員さんから、76のデザイン案が出て来て、その内の数通りを採用し、制作しました。
 さらに、着物コートについて知ってもらうべく、他社とのコラボレーションや、イベントへの出店をしました。そこで、実際に着物を羽織る個人のお客様と交流し、私たちの技術が伝わっていることを知ることができたのです。
 また、社内イベントとして、着物文化祭を開催しました。社員さんが着物コートを羽織り、説明する様子に、「これからも様々なチャレンジができる」という可能性を感じたことを覚えています。
 沢山の反響を受け、メディアに取り上げていただきました。全国からお問い合わせの電話・メールを頂戴し、とても感謝しています。  

■技術やアイディアで付加価値をつける

 古着に私たちの技術やアイディアで付加価値をつけたこの取り組みが、アップサイクルであるということに気が付きました。
 アップサイクルとは、持続可能なものづくりの新たな方法論の一つです。単なる素材の再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことをいいます。現在、他にもできるものはないかと考え、チャレンジ中です。  

■今後のお役立ちのために

 先日、何十年も前に私たちが仕立てた着物を持って、コートにしたいとお孫さんが訪れてきてくださいました。孫の代まで企業が存続することで、世代を超えて、お客様のお役に立てることを実感しました。
 これからも存続のために、社員さんと共に、チャレンジを続けます。