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2021.02.06

「消滅寸前の伝統産業に新たな光を」福山支部P地区会12月例会

講師:(株)エニシング 西村和弘 氏

 P地区12月例会は「消滅寸前の伝統産業に新たな光を~エニシングの挑戦~」と題し、(株)エニシングの西村和弘氏を講師にお招きして開催しました。

 日本の伝統的仕事着である「前掛け」の製造販売を行う西村氏は大手食品会社勤務を経て独立開業後、前掛けの一大産地である愛知県豊橋に巡り合い、販売をはじめられました。需要減少や高齢化により消滅寸前だった業界の確かな技術や品質に着目して、小ロット対応やこれまでにないデザインなどに取り組みながら伝統技術に新たな光を照らし続けておられます。東京で活躍されている西村氏でありますが、広島市出身であることと、「前掛け」に使用している紅白紐を神辺町の会社が製造していることもあり、福山市とは非常に縁があられました。

 講演では、需要減少や高齢化が進んでいる「前掛け」業界の中で、西村氏が立ち上げた新工場の話をして頂きました。新工場はお客さんやデザイナーの方も見学可能になっており、廃業前の老舗で修業した20~30代の社員たちにより、100年前から稼働している織機10台で「前掛け」を製造されております。古い織機を使うのは「厚手で柔らかくて軽く、風合いのある物が仕上がるから」とのことでした。品質へのこだわりは勿論のこと、伝統的な技術の継承への取り組みもされておりました。その他にも、営業活動の話や販売戦略の話など色々として頂きましたが、その中でも価格競争の激しい現代において、「人と競争をしない経営」をされていることに非常に驚かされました。当然「前掛け」の価格にも競争はありますが、品質や商品の背景などの付加価値をユーザーに理解して貰い販売されている手法にただただ関心させられました。西村氏が経営されている⑰エニシングの「前掛け」は現在、日本のみならずアメリカ、イギリスなど海外でも「MAEKAKE」として販路を増やしていっておりますが、本日の講演を聞き、さらなる展開が非常に楽しみとなりました。

 西村氏の講義を聞き、多くの参加者が挑戦する意欲を喚起されたと思います。講義して頂きました西村さん、ご参加頂いた皆様、ありがとうございました