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2021.01.22

「社員もお客様も幸せになる経営をめざして」福山支部11月支部例会

報告者 ㈲シャルダン商会 代表取締役  藤田哲也 氏(福山)

■初めて自分と向きあって…

 当社は福山・広島・岡山の三拠点で運送業・倉庫業、ピアノの買い取りと販売を行っています。社員数は41名、昭和55年設立の会社です。
 私は高校卒業後に後継者として入社しました。入社当時の私は「社長の息子だから特別なんだ」というプライドがありました。父の威厳を笠に着て高圧的な態度を取る一方、自分が売上を出さないといけない、と自分にも社員にも追い込みをかけていました。私の心はこのつまらないプライドに支配され、自分を顧みることも新しいことを学ぶこともありませんでした。それは2013年の社長就任後も変わりません。当時は売上と利益のみを求め、労働時間は長く休日も少ない状態でした。
 そんな状態が長く続くはずもなく、二〇一五年に当社は重大事故を起こしてしまいます。その事故では多くの方の大切なものを奪うことになり、この時に初めて自分と向き合いました。ただ、向き合っても、向き合っても答えは出ません。唯一わかったのは、もう事故を起こしてはいけないことだけです。社員には働いてもらわないといけない思う一方で、社員を信じられなくなり、常に目を光らせていました。私の心は恐怖とジレンマでいっぱいでした。
 同友会に出会ったのは、この頃です。声をかけてくれた経営者は私を食事に誘い、その間ずっと楽しそうに経営や社員の話をするのです。その姿を見て、私はその場で同友会に入ることを決めました。

■同友会で会社が変わった!

 入会後は個人面談や定例会議、小集団活動や経営指針書発表会、社長塾等を始めました。入会1年目の年に始めたのが個人面談です。私が入社して初めての経験で、何を話せばいいのかわかりません。そこで先輩会員の助言を受け、まず感謝を伝えました。面談を続けると、社員から提案が出始め、各段に離職が減りました。私も社員の個性や強みが少しずつわかってきました。
 今年になると小集団活動を通じ、それまで縦割りだった社内に変化が生まれました。職種も入社年数も関係なく、みんなで目標を共有するうちに、人間関係がよくなりました。また、少人数で活動することで当事者意識が生まれ、活発に発言するようになりました。社員同士の会話を聞いていると、意外な1面を発見することがあります。いかに自分が曇った目で見ていたのかと時々反省します。社員が失敗することもありますが、それも大切な経験の一つだと思っています。
 入会して3年目を迎え、社員が最大限の力を発揮し、生活の向上ができる環境を整えることが経営者の責任だと考えるようになりました。夢や希望を宣言し、約束しなければ、社員は力を貸してくれません。コロナという予想もつかない外部環境の中でも、約束が実現できなければ、経営者が説明責任を果たさなければいけない、と考えています。
 しかし、まだまだ一歩進んで二歩下がることの繰り返しです。つい社員に無関心になってしまうこともあります。そんな時には、同友会で学ぶ仲間の姿を見て、改めて自分を振り返っています。

■まだ見ぬ景色をめざして

 同友会の先輩の真似から始まった私の経営実践ですが、その中から本当にたくさんの気づきと学びがありました。  会社によって「よい会社」の姿は違います。その定義を明確にし、絶対に実現させるという経営者の熱意が必要です。今、シャルダン商会では社員の能力を発揮するだけでなく、生活基盤の向上ができる会社づくりをめざしています。社員とまだ見ぬ景色をめざし、お客様満足も社員満足も地域からの信頼も得られる会社でありたいと思っています。
 会社の維持発展の原動力は人です。私は社員とは経営者と社員である前に、人として向き合うようにしています。成功した時は共に喜び、失敗した時は共に笑って挽回できるような会社をつくっていきたいと考えています。  私は今期から地区会長に就任しました。こんな時だからこそ、希望であふれ、たくさんの人に夢や希望をお裾分けし、切磋琢磨できる同友会でありたいと思います。