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2020.12.03

■コロナの中で頑張ってます! 「コロナはビジョン実現を促進した」㈱京都嵯峨野 代表取締役  藤正幸司 氏(広島中支部)

 「君はSF映画を見ますか?」と藤正氏。「携帯電話やキャッシュレス決済、空気汚染で全員がマスクをかけている…そんなシーンが出てきます。つまり、そこには未来の技術や社会が描かれていると思うのです」。  そんな藤正氏にお話を伺いました。  

■戦略的に生き残る

 同社は1980年に貸衣裳店として創業しました。八六年から開始した結婚式場斡旋事業を機に、大きく飛躍します。96年にテレビ局とタイアップした「ブライダル情報センター」を開設し、結婚式の総合婚礼サービス業として発展してきました。
 そんな京都嵯峨野もコロナの直撃には大きなダメージを受けました。「会社規模が大きいので、こじんまりした対策ではどうにもなりません。そこで当初は、出費を抑えることを徹底しました。」。戦略的に生き残るために描いた道筋は、2020年は耐える期間、2021年は黒字化をめざす期間、2023年は収益を取り戻す期間、です。「社員さんには『大丈夫だから安心して』と言い続けました。それしかできなかったのです」。  

■理念で行動を叱る

 そんな時期だからでしょうか。社員間の意見のすれちがいが起こります。「この3か月は、説教ばかりでした。『それは経営理念にそった動きではないよね』って」。
 経営理念は「いついかなる時もお客様の期待を上回り続ける」。氏の父上が定めたもの。「それまであまり意識はしていなかったのです。でも、経営理念の大事さを思い知りました」。  

■生き残る目途

 「これは、そう簡単には終わらない」と判断した氏は、金融機関に交渉。最終的には約2年分の運転資金を確保しました。「金融機関には、『いくらまでなら融資してもらえる?』と交渉を重ねました。まずは生き残る目途をつけないと」。  

■新しい取り組み~共同を視野に

 新しい取り組みも進んでいます。結婚式専門のヘアメイクに特化した美容室COCOROをオープン。将来的には業界的には土日祝に利用できる託児所が少ないことから、これを併設することも検討しています。
 広島のブライダルを活性化するイベント「BRIDAL VISION」は、12月27日にYouTubeで配信します。
 1月には、駅北に子どもの成長と夫婦の歩みを記録できるフォトショップの開店を予定しています。「結婚式で仕事が終わるのは残念ですから。将来的には、ママさんたちのコミュニティーを作ることができたらいいな、と考えています」。
 広告も「これからはサイネージを活用したい。いろいろやるには単独では荷が重いので、様々な関連業種の方と共同でできないか、と研究中です」。口コミを重視する同社にはホームページはありません。しかし「ショップアプリは作りたいですね。中途半端にするのではなく、こじゃれた感じを出していきたいですね」。  

■ビジョン実現を促進

 「今取り組んでいるのは、コロナになったから考えたことではありません。掲げてきたのに先延ばしにしてきたビジョンや戦略を、実現する時だと思いました。いわばコロナがビジョンの現実化を促進した、といったところでしょうか」。先行きは不透明な時代の中ですが、氏は力強く語りました。

企業プロフィール 1980年創業、資本金4700万円、従業員数110名(パート含む)、婚礼貸衣裳業を中心にした総合婚礼サービス業