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2020.04.04

役員研修大学 第7講 「働く環境づくりで全社一丸の会社づくり」

㈱アイエフエス 取締役  中本 久美 氏 (大阪同友会副代表理事)

 2月15日、福山市のローズコムにて役員研修大学の第7講が開催され、22名が参加しました。問題提起の概要をご報告いたします。

 現在は、㈱アイエフエスという認可外保育園を運営する会社の取締役として大阪同友会に会員登録しています。今日は、以前代表をつとめた㈱インターフォワードシステムズという会社での体験をご報告いたします。  

経営指針は作ったけれど

 私は大学を卒業して就職し、結婚した後も子育てをしながらサラリーマンをしていました。1999年に夫が通関業を営むインターフォワードシステムズという会社を興し、手がまわらないから手伝ってくれと頼まれて、二〇〇四年にしぶしぶインターフォワードシステムズに入社しました。五年後に社長をやってくれと予告されたので、夫が入会していた中小企業家同友会に参加して経営の勉強をするようになりました。良い会社、良い経営者、良い経営環境について総合的に学ぶことができました。経営指針確立成文化セミナーに参加して、何のために、誰のために経営するのか、それまで考えたこともないことを考えさせられました。
 経営指針書では、企業価値を高めて社員に継いでもらえる良い会社をめざしました。最初は夫と二人で作成し、その翌年は各営業所長を交えて作成し、三年目は全社員を集めて作成しましたが、お題目のようでうまくいきません。  

赤字決算が転機となる

 2009年、リーマンショックの影響で初めて赤字決算になりました。次の4月は定期昇給ができないと全社員に知らせたところ、その夜、8名の社員が納得できないと詰め寄ってきました。
 そういう状況でしたので、その翌期の経営方針を決める会議では、社員が思っていることを出してもらうことにしました。グループ討論でいろいろ出てきました。出た意見については、その場で経営者としての考えを返しました。その午後は建設的な意見が出るようになり、経営方針を固めることができました。このできごとがあったからこそ、経営指針書が全社員のものになった気がします。  

残業が多いことが 最大の課題

 私が入社した2004年当時は、そこそこ軌道に乗った状態で9名の社員がいました。しかし、100時間を超える残業が常態化し、生理が止まった女性社員もいて、とてもショックでした。仕事を片付けないと船が出港できない、船から荷物を下ろせないという業務上の事情はあります。
 評価制度の見直し、粗利の見える化、人時生産性、「残業申請」のルール化、「残業グラフ」を作成して残業の見える化、ITを活用した業務の見える化、多能工化など、いろいろなことに取り組みました。

働く環境づくりで自主性が生まれ生産性が向上する

 社員のみなさんは、置かれている環境も考え方も人さまざまです。
社員Aさん:シングルマザー
社員Bさん:夫婦共働き
社員Cさん:正社員から育休~復帰後短時間正社員
社員Dさん:地域との関わりを大事にしたい
 人それぞれの環境や希望に合わせて柔軟に働けるように就業規則を変えていきました。その時に、反対の立場にいる社員がどう思うかを考慮して進めました。
 個性を尊重し、それぞれの働き方を認めあうことによって自主性が出てきます。生産性の向上は社員の自主性からしか生まれないと思います。ワークライフバランスは単純な時間の調整ではなく、働き方の質をいかに保つかということではないでしょうか。
 ㈱インターフォワードシステムズは、2014年に丸紅㈱と丸紅ロジスティクス㈱に円満に事業譲渡いたしました。社員とともに進めてきた取り組みが外部から評価されたと誇りに思っています。