「国の借金を増やしても本当に問題ないのか ~MMT(現代貨幣理論)を考える」
バブル崩壊の90年初頭から30年、日本の公的債務は増え続け、いまや1300兆円を超え、GDP(国内総生産)の2倍超です。「直間比率を見直し、しっかりした財政をつくる」の名目で89年に3%で導入された消費税ですが、税率アップを重ねているにも関わらず国の借金は積み上り、景気は低迷を続け、働く人の実質賃金は減っています。アベノミクスの金融政策で、株価は上がったものの、国民の暮らしは豊かになっていません。
では、どう日本の経済を立て直すのか。昨年4月、広島同友会が招いた京都大学の教授の藤井聡氏は、「日本がとるべき政策は、消費税率を下げ、財政出動し、内需を増やすこと」と指摘しました。その根拠になっているのがMMTではないかということで、県政策委員会(宮﨑基委員長)は、1月17日、広島修道大学商学部のNguyen Duc Lap(グエン)教授を招き、MMTの勉強会を行いました。
グエン教授は、「MMTは財政赤字と政府債務について今までと異なった考え方、自国通貨を発行する政府は財政的予算制約に直面することはないから、財政再建ではなく経済安定を目指すべきと提唱している。政府の累積債務にも財政赤字にも問題はなく、財政再建を行わなくとも財政破綻することない。いわゆる、政府の支出と収入(税収)は同じでないといけないということではなく、『完全雇用に寄与しているか』、『インフレを招いてはいないか』といった実際に財政がマクロ経済おける果たしている役割を行うべきである。つまり、何よりも、財政政策によって潜在成長率を高めるような『有効な支出』ができるかどうかが重要であり、政府の財政赤字は民間部門の黒字であるため、経済の活性化につながる」とMMT論者の主張を解説しました。
また、「赤字国債を発行し続けても国家財政は破綻しないが、信用を失うとインフレによって国民に大きな痛みを強いる可能性がある。日本の問題は需要が足りないことで、需要を喚起するために、消費税を下げるという選択肢もある。MMTは議論する価値があると思う」と補足しました。
財政問題を取り上げた政策委員会でしたが、普段考えていない目線で、しかも知らないことを知る面白さを体験、今後も勉強会を続けたいとの声が出されていました。