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2019.08.27

「SDGsを経営に活かせ」県環境経営委員会勉強会 講演要旨

講師:広島修道大学人間環境学部 教授  豊澄 智己 氏

■MDGsの後継

 2001年に成立したMDGs(ミレニアム開発目標)の後継としてSDGs(持続可能な開発目標)は生まれました。2015五年の「MDGs報告」で潘基文国連事務総長は「極度の貧困をあと一世代でこの世からなくせるところまで来た」「MDGsは歴史上最も成功した貧困撲滅運動になった」と強調しました。特に国家やNGOなどの取り組みが重視されていたので、私たちにはややなじみの薄いものでした。
 これに対してSDGsは、成果課題の解決に企業の役割(特徴)を重視しています。NPOなどもこれに含まれます。17のゴールと169項目のターゲットが定められています。MDGsとはギアの段階が違うものです。

■SGDs活用の意義

 SDGsを活用することの意義は3つあると思います。
 1つは、活動の正当性・公共性を示すことができることです。「○○の活動は、ひとりの社長の利益・思いのためではない」と社員やお客様にアピールできます。
 第2に、これが共通言語であることです。例えばISO14001に取り組んでいます」と言えば、「環境配慮型の企業」という評価になりますが、「SDGsの〇〇に取り組んでいます」と言えば、共通認識としてはっきりとそのことがわかります。これは地域連携や関係者との協働・連携にもつながります。
 第3に、世界標準としての評価を受けられ、宣伝効果があることです。

■ロジックツリーと3つの使い方

 SDGsを活用するにあたって、大事なことはロジックツリーを意識すること。わかりやすく言えば、目的と手段を混同しない事です。SDGsは白飯(本業)に対するふりかけ(意味づけ)だと思ってください。
 目的がはっきりすれば、その解決の手段として多くの場合、社員教育の重要性がクローズアップされるはずです。社員教育の項目が出てこないロジックツリーになったら、目的と手段の混同を疑っていただきたいと思います。
 その視点で考えれば、SDGsの使い方は3つになるでしょう。1つは、自社の既存の取り組みをSDGsで色付け(評価)すること。2つ目は、自社の仕事をSDGsの視点で見直し改善すること、3つめはSDGsのターゲットを新たなビジネスとして展開することです。

■検索を活用しよう

 共通言語ですから、他社の取り組みを参考にするのは簡単です。自社の取り組みが○番と○番のゴールに関係しているな、と思ったら、その言葉と業界名で検索して下さい。同業他社がどのようにアピールしているかよくわかります。
 どの事例でも、SDGsのために何かをしているのではなく、自社の取り組みをどうPRするか、つまり既存の取り組みをSDGsで色付け(評価)して世の中に広くアピールしているかに気付くことができるはずです。

■SDGsの事業化

 SDGsは2030年までの取り組みです。ではそのころ、時代はどうなっているでしょうか。事業の姿・会社の将来像を描き、そこへ向かってこの瞬間から変わっていく必要があると思います。つまりバックキャスティングが重要だという事です。皆さんの言う、経営指針の成文化と実践に重なる取り組みです。
 今後、SDGs示されているゴール・ターゲットを事業化したり、現在の仕事をシフトしていく必要があります。現状とSDGsが目標にしているものとには大きなギャップがあります。だからこそ、そこに大きなビジネスチャンスがあるのです。  ぜひSDGsをボランティアでなく、事業に活かしていただきたいと思います。