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2019.07.22

[全社一丸で進める経営 ~働きやすい環境と利益追求の両立~」三原支部6月例会

報告者:エステサロンPURLY 原 久子 氏(島根同友会 副代表理事)

企業理念
女性として美しく幸せに生きる
経営理念
美を提供することで、喜びと感動、そして勇気を与え続ける。それが私たちの使命です。
一、私たちは常にお客様の幸せと、働く仲間の幸せを一番に考えます。
一、私たちは己の可能性を信じ、挑戦することで、人間性の向上と、企業の発展を目指します。
一、私たちは仕事を通じて、地域を担う人づくりに貢献します。

■仕事と家庭の両立

 出雲市で2006年に起業して、今年で14年目になります。女性として家庭を持つ幸せと充実した仕事を両立させたいと思い、自らエステの資格を取り起業しました。
 起業してから順調にお客様が増え、1年経った頃に初めて人を雇用しました。同じタイミングで300万円投資して脱毛の機械を購入。キャンペーンを打ち出して集客に努めました。しかし、雇用して1ヶ月経ったころ「独立したい」と言われ、どうしようかと頭を抱えました。
 夢を叶えたいと思っているのは自分だけじゃない。自分も起業した時は周りの人に助けてもらった。次は自分の番だと思い、彼女の独立を手伝いました。私の手元に残ったのは300万円の借金と予約の山。寝る間も惜しんで働きました。女性としての幸せと充実した仕事の両立をめざしていましたが、程遠い状況でした。それ以来雇用するのが怖くなり、ずっと一人で続けていました。

■自分の想いを経営指針に

 そんなときに同友会で報告する機会をもらい、「女性を応援したい」という想いを自覚するようになりました。
 報告の後、また雇用しようと決心し、2人採用しました。当時は同友会でも色々な役割を持ちサロンを空けがちでしたが、スタッフに任せるのが怖くて、メールチェックからSNSの対応まで全て一人でしていました。出張中もお客様の対応の仕方がわからないと社員から電話が続きました。対応の仕方は私の頭の中にしかないから、何をすればいいのかわからないのです。何を基準に判断すればいいのかスタッフに示すために、同友会で経営指針を成文化しました。
 経営指針は作って終わりではなく、実践することが大切です。同友会で知った他社のやり方を真似ながら、試行錯誤を続けていきました。

■理念が会社を助ける

 自社ではまつ毛エクステを提供していたのですが、法改正により資格が必要なサービスになりました。売上の3分の1を占めていたので、どうするべきか悩みました。同友会の仲間の「社員が安心して技術提供できないのにお客様の幸せはありえない」という言葉と、自社の理念に立ち返ったおかげで、いったんサービスを止めて、資格取得をめざす決心ができました。
 また、独立を前提に3年間修行してもらう予定で美容師を雇った時のこと。彼女は2ヶ月目で独立をしたいと言いました。「身勝手だ」と私が言うと、彼女は「妊活をするために半年休むと言う原さんこそ身勝手だ。女性が働きやすい職場をめざすと言うが、独身の社員に頼っているだけだ」と言われました。そのとおりでした。理念に掲げていることができていなかったことに気付かされ、改めて女性の働きやすい職場をめざそうと決心しました。

■社員の人生を徹底的に応援

 私は妊活のために半年間お店を休んでいたことがあります。それを機に自分で抱えていた仕事をスタッフに任せてみました。そのとき、仕事を任せて期待をすることでスタッフが成長し、主体性が生まれてくることを学びました。
 働きやすい環境づくりのためには、スタッフにとって自分が必要とされている実感や、一部の人の頑張りに頼るのではなく、皆でフォローし合う関係が大切です。自社ではスタッフで話し合い、独立のタイミングや果ては妊娠の時期まで計画を立てていました。その話を聞いた時、これが皆が皆の人生を応援するということなのだと感じました。ほかにも、就業規則の作成や、顧客ターゲットの変更による客単価のアップにも全社一丸で取り組みました。
 社員の人生を徹底的に応援することを貫こうとすると、自分がつらくなることもあります。それでもお互い応援し合う関係を作っていくことで、社員だけでなく、お客様からも応援され、信頼される会社になっていくのです。