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2018.11.01

広島西支部20周年記念行事「たまご1個100円? 差別化しづらい常識を打ち破り、視点を変えて新たな価値をつくりだす」

報告者:㈱小林ゴールドエッグ 代表取締役  小林真作 氏(徳島同友会)

■小林ゴールドエッグの仕事

 他社と差別化を図ってもすぐ真似される食品業界で、小林ゴールドエッグがどうやって差をつけていったかお話します。
 小林ゴールドエッグは1975年に祖父が創業し、現在は鶏卵卸業を営む会社です。いわゆる卵屋で、14の契約農場で鶏を飼育してもらい、その卵を自社で選別。殺菌洗浄してスーパーや飲食店に出荷している、卵の安心安全を担う仕事です。

■新しい価値の提供

 狭い業界で、地場の企業だけでなく県外大手とも競合しているうえに、将来的に市場は半分になると言われています。そんな中で自社が生き残るために、私たちは付加価値を倍にする道を選びました。
 そのために取り組んだことは2つあります。1つは弱みを強みに変えることです。
 同友会で経営指針を作ったとき、自社には弱みばかりあると思っていました。複数の農場から卵を卸しているから品質もバラバラ。しかし、その弱みが全部強みに変わっていったのです。
 経営理念では自社を「生命の源である『たまご』という食材を通して、お客様の食卓へ「おいしさ」と「健康」をお届けする事を目的とする企業です」と言っています。その中でも、おいしさを届けるって何?卵のおいしさとは?と考え、最後に食卓でお客様が食べて、おいしいと言ってもらえることと定義しました。
 そこで、取り扱っている卵を色々調べ、データを採りました。すると、どんな料理にも合う卵はないと気付きました。鶏の種類や餌、飼い方で卵を分けて、使う料理に合わせて提供するようになります。
 もう一つの取り組みが、わくわくする価値の提供です。しかしそれだけでなく、繁盛も提供するようにしています。 卵を最終的に食べるのは一般のお客様ですが、お金はスーパーなどから貰います。エンドユーザーのことだけでなく、直接関わる顧客とも一緒に繁盛するメニューや企画を考えています。卵を通しておいしさと健康を提供することで、顧客が利益を上げるお手伝いができればとの思いでBtoBtoCに取り組んでいます。

■皆で理念を共有する

 今までは同じ商品を同じ顧客に同じ売り方で売っていました。今では違う商品を違う顧客に違った売り方で売っています。
 変わったきっかけは2つ。1つ目は先代がなくなり突然社長に就任した直後。本をたくさん読んで経営について知り、知ったことを実践しました。しかし当時は目的意識もなく失敗しました。
 2つ目は、同友会での学びです。経営指針を作り、異業種の方の中で学びました。
 本で学んだ知識と同友会で学んだ指針がつながり、会社の方向性が見えてきました。社員や取引先と目標を共有し、理解を深めます。最初は半信半疑だった社員も、理念のもとに行った取り組みが周囲に認められると、どんどん変わっていきました。
 私にとって、卵によって合う料理が違うことは大発見でしたが、実は社員にとっては当たり前のことでした。仕事の中で、経験として知っていたのです。その経験を社内で共有し、皆で会社の指針を考えていきました。
 経営者は結果を作らなければいけません。理念はどうやって結果を作るか方向性を示すものだと、同友会のおかげで学べました。

■世界標準の卵を提供する

 今後10年のキーワードは自然です。ヨーロッパではウインドレス鶏舎が禁止されており、鶏は放し飼いです。これは狭い日本では難しい。しかし徳島は人口減少により、土地が空いてきます。つまり四国から世界標準の、自然を生かした卵を提供できるようになるのです。
 過去に失敗はありました。そのおかげで今があります。過去があるからこそ、現在があり、理念をもとに未来に向かっています。
 単なる卵であっても色々な魅力があります。自社にもまだまだ魅力はある。自社の良いものを再発見して、世界標準の卵を提供できる会社になっていきたいです。