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2018.04.16

経営環境アンケート調査 圧倒的人手不足への対応

 政策委員会(佐藤清子委員長)は、1月10日から3週間、今年度第二回のアンケート調査を実施しました。572人の会員の皆さん、ご協力を有難うございました。概要を紹介します。
(※DI=傾向をみるための数値。DIが100に近づくほど良い(上昇)、△100に近づくほど悪い(下落)ことを意味する)
 
業況の好転は続くも圧倒的人手不足に悩まされる
 現在の経営状況について、半年前の前回調査から2.8ポイント上昇、DI値は19となり、回復傾向が続いています。しかし、そのDI値は製造業で25、建設業で38、サービス業で16を示したものの、卸・小売業では△1を示し、業種格差がひらいています。
 昨年末、広島県内の有効求人倍率は43年ぶりに2倍を超えました。東京に次ぐ高さで、採用がいっそう厳しくなっていることを示しています。
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表① 現在の経営状況
              製造業  建設業  卸・小売業  サービス業  その他
選択肢            回答率   回答率  回答率    回答率  回答率
1.とても良い         8.3%    7.5%   4.1%     5.6%   6.5%
2.少し良い          41.7%    45.8%    30.9%        34.3%    30.4%
3.どちらとも言えない  25.0%      31.8%    28.9%        36.5%    34.8%
4.少し悪い            20.1%      12.1%    27.8%        16.3%    23.9%
5.かなり悪い          4.9%        2.8%    8.2%          7.3%     4.3%
合計 DI値             25         38.4     -1           16.3     8.7
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 そのことを物語るように、経営上の問題点のトップは「従業員の不足」(48%)で、過去最高だった昨年(43%)を、さらに上回りました。「圧倒的な人手不足に悩まされている」、「社員不足で自社加工する時間がなく、外注費が増えている」などの声が寄せられました。人件費の増大(30%)も経営上の問題点の第2位となり、「人」に関連した経営課題が増えているのが、今回の特徴です。
 
付加価値のアップが課題解決のカギ
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表② 「働き方改革」に取り組んでいる方にお聞きします。それはどんな取り組みですか。(いくつでも可)
設問                  回答率  
1.残業時間の削減            65.9%
2.休暇(有給など)の取得促進      62.4%
3.時間や場所にとらわれない勤務制度   18.8%
4.育児・介護支援            33.2%
5.非正規と正社員の格差改善       12.2%
6.仕事の進め方の見直し         46.7%
7.その他                44.5%
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 したがって、採用に力を入れるのは当然ですが、社員の定着も大切な経営課題になります。いわゆる「働き方改革」に取り組み、社員の働きやすい環境をつくることで定着率が高まり、採用にもつながる可能性が高くなります。すでに「働き方改革」に41%の会員が取り組み、「残業時間の削減」や「休暇(有給など)の取得促進」を進めています(表②)。
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表③ 今春の賃上げについて
設問                     回答率
①昨春も賃上げしたし、今春も行う       39.0%
②昨春は賃上げしたが、今春はしない      5.2%
③昨春は賃上げしたが、今春はわからない    15.6%
④昨春は賃上げしなかったが、今春は行う    4.4%
⑤昨春は賃上げしなかったが、今春はわからない 9.8%
⑥昨春も今春も、賃上げはしない        13.1%
⑦その他                   12.9%
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 労働時間を短くしつつ賃金を上げるのは大変難しい課題でもあります。今春の賃上げについて(表③)、「行う」は43%、「しない」は18%、「わからない」は25%と答えています。「人材を確保し、雇用を安定したい」、「社員の努力に報いたい」ので賃上げするという声や「現在も支払える精一杯の給与を支払っている」からこれ以上の賃上げは難しいという声など、たくさん寄せられました。何れにしても経営課題の解決のためには、全社一丸となって、原資である付加価値を高める努力を続ける以外に道はありません。
 
個人保証の免除は約10%(表④)
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表④ 経営者保証に関するガイドライン
選択肢                                    回答数   回答率
1.知っており、金融機関に相談し、個人保証を免除してもらった        56     9.8%
2.知っており、金融機関に相談したが、個人保証 を免除してもらえなかった   48       8.4%
3.知ってはいるが、金融機関に相談していない                                230      40.2%
4.知らない                                                                218      38.1%
合計 552  
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 経営者保証に関するガイドラインは、法人と個人が明確に分離されている場合など一定の条件を満たせば、金融機関は経営者の個人保証を求めないというものです。個人保証を免除された会員は約10%いることがわかりました。借り入れの条件は各社で異なりますが、円滑な事業承継のためにも検討し、可能ならば金融機関に相談しましょう。