活動レポート
  • ホーム
  • >活動
  • >役員研修大学第1講「「同友会の理念~開講式を兼ねて~」
2023.12.22

役員研修大学第1講「「同友会の理念~開講式を兼ねて~」

報告者:中同協 会長 広浜 泰久 氏((株)ヒロハマ 代表取締役会長、千葉同友会)

■会社紹介

弊社は、業務用の缶パーツ(キャップ・口金・手かん等)メーカーです。現在、会長に就任しています。この業界は縮小を続けており、ピークと比べると半分の規模になっています。現在は弊社が6割のシェアをもっています。

千葉同友会にはいり、33年同友会と共に歩みました。大切にしているモットーの内一つは、学んだことは必ず実践することです。例会中にメモを取るだけでは実践にはつながりません。メモの横に自社の課題をかき出し、さらに具体化細分化して自分のスケジュール帳に書き込んでいます。こうすれば、自ずと実践につながります。

■同友会理念:三つの目的

同友会理念は、さまざまな課題を考える切り口になりえます。三つの目的について考えたいと思います。

『良い会社』とは、『21世紀型企業づくり』をさします。具体的には労使見解への理解や経営指針の作成と実践です。弊社は同友会入会前、労使関係が未熟で信頼関係がありませんでした。違法ストライキを発端とし、元社員と7年に及ぶ裁判を行ったこともあり、経営者層も反省し、ちゃんとした会社にむけて動きました。就業規則・賃金体系・人事管理等を整理し、さらに同友会に入会後、公私を分ける必要性に気が付き、配当性向・役員体制の変革を行いました。ですがその問題意識は、すでに労使見解に書いてありました。

『良い経営者』とは、中小企業家の矜持だと考えられ、科学性・社会性・人間性での卓越を指すと言われています。科学性は、数字の根拠だと理解できます。私の支部は「道徳的な言葉でごまかすな」が合言葉でした。そこで活用をしているのが、人時生産性(社員1名あたりの1時間の付加価値を表す指標)です。

『良い経営環境』について。中小企業を取り巻く環境改善に対して、同友会は自主的な活動をし続けています。これは、他の団体で多く見ない同友会の特徴の一つです。中同協は、中小企業庁・金融庁・(一社)全国銀行協会等と懇談会を開催しており、各諸団体には重要感を持って参加いただいていると感じます。外部発信は、良い環境をつくる上で重要だと考えています。

■経営指針

当時、弊社には方針等に基づいた指針はなかったため、経営指針セミナーに参加しました。その際、「なんのために事業をしているか」と問いかけられましたが、虚栄心や野心で失敗したばかりだった私は、答えることができませんでした。所属支部の元支部長((株)サイゼリヤ創業者 正垣泰彦氏)は、その問いに対してこう答えました。「自分が何か人にして、喜んでくれると嬉しい。だから人が喜んでくれることをやるんだけど、一人では大したことはできないから、会社という組織で効率的な分業をする。それが会社を経営する意義だ」。その言葉に感銘を受け、経営理念に反映しました。

経営指針にもとづく全社一丸経営には、外してはいけないポイントがあります。①ちゃんとした会社になること。②経営者一人で作成せず、責任ある組織の長が作成すること。③企業変革支援プログラムを活用し、できるかぎりすべての課題を織り込むこと。④最終的には一人ひとりがPDCAを回すこと。⑤月次決算を課題とあわせて必ず行うこと。

経営指針は、部下からみると上司がつくった計画に過ぎません。最終的には具体化細分化して、社員が自分の計画を作るのが理想的です。弊社では、月次決算をもとに週ごとに計画を立てて課題に取り組み、週明けに報告をすることで、一人ひとりが経営理念の実現に向けて役割を果たしています。この取り組みこそが、人を生かす経営における全社一丸経営の仕組みを作り上げる、最後のピースだったと感じています。

■人を生かす経営における全社一丸経営

会社の方向をはっきりと示し、社員が指針を理解し、一人ひとりがどのように努力するべきか理解し、実践する。そして、その成果を共に喜ぶことが、人を生かす経営における全社一丸経営だと考えています。
現在も続く差別や戦争などを見るたびに、人間らしく生きることを担保する社会を作らなければならないと感じます。国や地域と共に歩む中小企業の連帯がめざすところは、「すべての人がその素晴らしさを発揮できる社会」なのではないかと考えています。
産官学、様々な団体の運動を有機的につなげられるのは同友会のみです。同友会こそ、企業づくり・地域づくりの先頭にたたなければならなりません。中小企業の社会的地位の向上に大きく関わっています。これからも、運動として展開しましょう。

(記:事務局 橋詰)