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2023.12.22

役員研修大学第3講「労使見解の意義と自社での実践~人間尊重経営・社員の成長が会社発展のカギ~」報告要旨

報告者:中同協副会長・愛知同友会相談役  エイベックス(株) 代表取締役会長  加藤 明彦 氏

■中小企業経営者の使命と役割

同友会運動は、国民や地域と共に歩む姿勢を持ち、自主・民主・連帯の精神に基づいた創造的実践を通して発展してきました。中小企業経営者は企業経営活動を通して、より良い社会の実現のために、「労使見解」の精神のもと「人を生かす経営」を行う必要があります。これら通して地域のインフラ企業として「人が生きる社会」を目指します。

■経営者の姿勢

私が2代目として入社した時、社内の職人は全員自分より年上のため軋轢がありました。私はやる気に満ち溢れるも、「社員は集まらない」「定着しない」「言わないとしてくれない」という風土でした。その後、同友会に入会、共同求人委員会に参加して労使見解(人を生かす経営)に出会いました。

当時会社が儲からないのは「お客様と社員が悪い」と思い込んでいたため、社員が言いたくても言えない・言ってくれない社風になりました。私は、社長に問題があることに気が付きました。社員に自主的に行動してもらうために「know-why」(目的・何のために)を求め、意見を受け入れる傾聴力を意識しました。この経験より、素直に意見を受け入れ学ぶことが自分を変えていくことだと気が付きました。

■経営指針成文化の重要性

経営者は、経営の維持と発展に情熱を傾ける姿勢が大切です。そのために経営において明確な指針作りをして全社員と共有する必要があります。この過程こそ「共育ち」につながると考えています。経営指針を作る理由は二つあります。

一つ目は、今ある仕事は必ずなくなると考えているからです。時代の変化と共にニーズや取り扱うものも変化します。弊社は、家庭用ミシンで創業後、8ミリ映写機部品、自動車関連部品へと事業内容が大きく変わりました。リーマンショックの時に、自動車部品製造業から切削研磨加工を極めるプロフェッショナル集団に変わり、安定した売り上げを確保しました。仕事の領域幅を広げ、一社依存の取引から数十社以上の取引に切り替えたため、今期は過去最高の売上を見込んでいます。
将来が見えるビジョンが明確になるとやるべきことがはっきりと見えてきます。社員はやらされ感がなくなり、自ら自分の役割を担うようになるため、具体的な会社の方向性や経営指針作りはとても重要です。

二つ目は今いる社員は必ず居なくなるからです。毎年採用計画と育成を行わなければ企業活動が継続できません。全社員の年齢構成を把握して、社員の後継・技術承継を行うことで共育ちの関係が生まれ、会社の維持と発展につながります。経営指針を作り、現状に甘んじることなく、常に危機感を認識することは、会社が発展する秘訣になります。

■社員と共に会社を作る

私は、先輩会員さんから、社員をもっとも信頼できるパートナーとして考えることが重要と教えてもらいました。一緒に働く社員と信頼関係を重視して「人間尊重経営」を目指しました。人間らしく生きる、他者との違いを認める、個々の潜在能力を活かす「自主・民主・連帯」を深め、労使見解との結びつきを社内に展開し、風土として確立することが大切です。

■まとめ

人が生きる企業づくりの実践のために大きなPDCAサイクルを描き、会社の成長を確認することが重要です。特にその中のCにおいて、毎月計画対実績の差異分析を行う小さなPDCAサイクルを回すことにより、社員とコミュニケーションを取ることができ、そこから真の経営課題が見えてきます。
是非、同友会学んだことを会社に取り入れ実践してみてください。実践こそ同友会活動と企業経営の不離一帯の近道だと思います。

(記:事務局 大塚)