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2023.12.22

「デタラメ経営から堅実経営へ~山あり谷あり笑いありの経営体験報告~」東広島支部11月例会報告要旨

報告者:ビーエルシー.(株) 代表取締役  石田 美子 氏(広島東支部)

創業は1998年5月、設立は2001年6月。脱毛メインとした女性専用サロンを広島市内に3店舗、「グレーススピリッツ」という屋号で運営しています。スタッフは20名。2021年4月から男性用サロンも開設しました。

■借金に追い詰められる日々

学校卒業後、建築事務の仕事に就いていました。20歳の時にエステサロンの女性上司と知り合い、彼女の考え方に深い感銘を受けました。もともと美容には興味があり、エステサロン「F社」に転職することを決めました。しかし、その会社は今でいうなら「ブラック企業」。でも、仕事は楽しく、一緒に働く仲間も素敵な人達で、毎日が充実していました。

25歳の時、本店の店長に抜擢される目前に結婚します。出産後も仕事を続けていましたが、夫と両親から退職を求められ、泣く泣く退職しました。それでも、いつか自分のサロンを出すという夢を捨てませんでした。
2年後、F社の元同僚と二人で、自宅に近い広島市西区にサロンをオープンしました。スタッフは増えても、売上は伸びませんでした。銀行からは借りられず、消費者金融やヤミ金から借金を重ねました。金利は29.2%。借金苦自殺がニュースになっていましたが、自分もそうなるかもしれないと思うほど苦しみました。

■決算書を見ない経営者

3年目になるとき、F社の社長からフランチャイズ加盟の誘いがあり、本通の店舗を1000万円で買収して移転しました。直感で中心部に移転することを決めましたが、売上は急上昇し、街金から借りたお金も返せるようになり、過払金まで戻ってきました。銀行からも融資の申し込みがあり、税理士からも外車の購入や役員報酬の増額を勧められました。しかし、私は決算書を見ることもなく、ハンコを押すだけ。儲かっていると信じていたので、内装や出店にお金を使いました。

2003年に経営者の会である同友会に入会しましたが、毎回参加しても何も学ばず、懇親会で飲み歩く、売上しか見ていない会員だったと思います。

F社が危機に陥った頃、フランチャイズ店だったため、クレジット会社が撤退しました。現金払いになったことで売上が激減し、借金だけが増えていきました。社員のリストラや家賃延滞、給料の遅配。毎日お金のことばかり考えていました。どんどん苦しくなり、店は閉店、縮小していきます。

■女性部会入会が転機に

2009年に同友会の女性部会入会が私の転機でした。4年後に部会長になり、その役割を果たすことで、逃げずに立ち向かうことができました。この時、「絶対に倒産させない」「継いでもらえる会社にする」「親を安心させる」という目標を立てました。そして、女性部の仲間たちの支えも大きかったです。

その後、女性部会で経営指針塾を開催することになり、経営指針を作成することができました。部会長でなかったら挫折していたと思います。

さらに2021年に同友会の「経営指針塾」に入塾して学び直しました。自己資本比率が50%以上になる強い会社を目指すことにしました。ちなみに2017年の自己資本比率は、マイナス858%でしたが、現在は46%です。決算書の数字を見て改善策を考えることができるようになりました。現在は、銀行や保証協会の借入を完済し、社員との海外旅行、国内旅行や忘年会を楽しむことができるようになりました。

■思った通りになれる

私がここまで立ち直れたのは、ターゲットを明確にし、20代前半の女性の脱毛という商品に絞ったこと
です。集客はお客様から行い、お客様にスタッフとして入社してもらうことを重視しました。また、そのために社風を大切にし、「明るい・元気・素直」を合言葉に社員教育を徹底しています。

自社の存在意義は「夢を語り、夢を実現させる場所」です。社員たちにそんな環境を提供したいと考えています。そして、常に目標を持って生きていって欲しい。

そんなワクワクしている大人を育成することが会社の地域貢献だと考えています。
私のモットーは「想像は創造なり」。良いことも悪いことも思った通りになります。前を向けば前しか見えないのです。経営者こそ、燃えるような夢・目標を掲げ、仲間と共に学び合い、なりたい自分になっていきましょう。

(記:事務局 木下)