「四代目どん底奮闘記~自社分析がもたらした奇跡の日本一」三原支部11月例会報告要旨
報告者:(有)I WILL 代表取締役 安達 亮 氏
■自社を徹底的に分析する
(有)I WILLは創業88年目を迎える写真館「土居写場」とダンススクール「スタジオ来夢」を経営しています。
後継者として働いていたときは、忙しくても手元にお金がない経営状況が続いており、仕事を楽しいと思えない日々でした。2010年に同友会へ入会。悩みを抱えていた私はこのままではまずいと感じ、ひろしま経営指針塾へ参加。指針塾や青年部会、寺子屋(※尾道支部有志の勉強会)で経営の勉強を始めました。
取り組んだことは、自社を徹底的に分析することです。具体的には、①SWOT分析、②ランチェスター経営、③ブルーオーシャン戦略、④外部評価の活用です。
■みんなで遠くへ
SWOT分析(自社の内部・外部環境を、強み・弱み・機会・脅威の4要素で分析)を社員と一緒にやりました。発覚したのが、私の思う強みと、社員の思う強みが違ったことです。「早く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」という諺のとおり、I WILLがより良い会社になるためには、みんなの想いをひとつにする必要がありました。
■I WILLにしかない強みを見つける
ランチェスター戦略(自社と競合他社の強み弱みを分析すること)で、競合他社をイメージしたとき、それはこども写真館や個人フォトグラファー、AI写真などでした。なぜ自社を選んでくれるのか?を社員と考えていくと、写真は結果撮れるものであって、写真を撮るという体験の提供ではないか、と気づきました。
ほかにも、手間がかかり他社がしないモノクロ写真の復元や、こども写真館の関わらない学校行事写真の撮影など強みも見えてきました。
■経営資源の活用
新しい仕事も見つかりました。それはエンディングフォトです。遺影写真をわざわざ用意する方は決して多くありません。格好良い遺影写真の撮影を始めると好評をいただきました。格好良い写真を撮るためには心身が健康でなくてはいけません。そこで自社の経営資源であるダンススクールの出番。転倒防止体操など健康のサポートも自社ではじめました。
■外部評価を改善に取り入れる
我々の業界では、「写真スタジオアワード」が毎年開催されます。これは、写真館の技術や接客、こだわりなどをトータルで審査するものです。審査対象は全国の写真館。審査されると、改善点等が記載された調査票が届きます。この調査票で外部からしかわからない自社の足りないところを見つけ、改善していくために活用しました。
■「世界に笑顔の花を咲き広げよう」
こうして、自社を徹底的に分析し、社員と共に改善を続けていった中で、2022年に約200社の写真館の中から、「第5回写真スタジオアワード」でグランプリを受賞しました。社内の雰囲気も、積極的な意見が出なかったころからガラリと変わり、社員が自信を持って仕事をするようになりました。
経営理念もできました。I WILLの理念は「世界に笑顔の花を咲き広げよう」です。自分たちの仕事を振り返り、「みんなが喜ぶ顔が見たい。写真を撮るのが仕事ではなく、みんなを笑顔にするのが仕事だ」と社員と一緒に考えた理念です。これからも、ロマンもそろばんも持って、良い会社をめざします。
(記:事務局 長谷部)