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2023.11.27

「私たちはどんな企業をめざすのか ~50年の歴史を振り返り、50年後の同友会・地域を展望する~」広島県中小企業家同友会 創立50周年式典 記念報告 パネルディスカッション

【コーディネーター】
広島同友会 専務理事 源田 敏彦 氏
【パネリスト】
広島同友会 代表理事 粟屋 充博 氏
中同協     会長     広浜 泰久 氏
広島同友会 事務局   国広 昌伸 氏

源田:今日は50年に一度のPDCAを確認する唯一の日だと思います。50周年を機にこれまでの歩みを振り返り、何を引継ぎ発展させていくのかを明確にし、会員各社がどんな企業づくりをしていくのか。企業づくりが広がり、どんな地域になっていくのかを展望していきたいと思います。

■創立当初の広島同友会

源田:創立3年目に入局した国広さんから当時の様子についてお話いただければと思います。

国広:広島同友会創立の1年前、「これからの中小企業経営者は変化していく環境に対する勉強をしていかなければ生き残ることができない」という問題意識を持った有志の方々が同友会の前身である、経済懇話会を立ち上げます。その時、当時福岡同友会の役員をしていた方から「広島にも同友会を作りませんか」と投げかけられ、1973年10月6日に70名でスタートしました。その日は、第4次中東戦争が勃発した日で石油ショックと狂乱物価で大変な時代を迎えました。そんな中、長崎で開催された全国研究集会では、「われわれ中小企業家は買い占め・売り惜しみをするような悪徳商人にはならない」という宣言がされました。この宣言を聞いた会員が広島に持ち帰ったことが、広島同友会の理念の出発点となっている気がします。

源田:粟屋さんが入会したのは創立13年目の時期だったと思います。当時の印象をお聞かせください。

粟屋:会はちょうど1000名を超えたばかりで、広島と福山の2つの支部しかありませんでした。入会当時はほとんどの方が先輩で、個性があり温かみのある方がたくさんおられる会だなと思いました。経営者として、人間としての生き様を教えていただいたように思います。

■停滞期の中での活動

源田:創立から会員数を順調に増やしていきましたが、1993年から徐々に減っていき、停滞した状況が続きます。ここは次への成長の準備を行ってきた時期だと思います。この辺りはどうでしょうか。

国広:折角、ご入会いただいた方の期待に応える活動ができているのか反省をしました。そして、一人ひとりを主人公にするという第二次中期ビジョンを作り、活動の見直しをしました。それは会の原点である同友会理念に立ち返るということでした。例えば、良い会社・良い経営者・良い経営環境とは、会員一人ひとりに置き換えた時、どんな会社が良い会社なのか、良い経営者・良い経営環境なのか掘り下げを行いました。

■会活性化の原動力とは

源田:10月6日時点で会員数は3052名になりました。ここまで会が活性化した原動力や要因はどんなものがあると思われますか。

粟屋:会活動の内容が充実しており、一つ一つの活動が、自社・地域のためになるという会の存在価値が高まったためだと思います。また、県組織委員長を中心とした会員増強の取り組みがあったからだと思います。

国広:同友会が自社の経営に役立つという確信を持つ人が段々増えてきているからではないかと思います。広島同友会では役員研修大学を20年前にスタートし、自他ともに認める同友会理念の体現者が増えてきていると思います。また、金融機関との懇談会・信用金庫との連携協定、県商工労働局との懇談会、政策アンケートの取り組みなど、会内・会外とのあてにしあてにされる関係が積みあがってきているからだと思います。

■広浜氏と同友会の関わり

源田:広浜さんは同友会の会員であり、中同協の会長でいらっしゃいます。まずは自社と同友会についてご紹介をいただければと思います。

広浜:私は一斗缶についているキャップや口金など缶の部品だけを専門に扱う仕事をしています。同友会で経営指針を作り実践したことで、それまでシェアが2番目だった会社が全体の6割まで成長をし、1番になりました。
私は、1990年に千葉同友会へ入会しました。同友会の例会は、経営のことを体系的に学ぶことができる場でとても勉強になりました。ですので、入会当初から会活動に参加し続けています。そして色々な役割を頂くことで、沢山の学びの場に出会いました。学んだことを必ず実践してきましたので、同友会無くして今の会社は無いと思っています。

■同友会のステージの変化とは

源田:広浜さんは「中小企業家同友会はステージが変わっている」と最近よく仰っていますが、ステージが変わっているとは具体的にどういうことでしょうか。

広浜:中同協の定時総会の議案集の中に各地同友会の実態調査のアンケートがあります。行政や金融機関、大学など外部との連携を行っている同友会がかなり増えてきています。これは凄いことだと思いますし、これだけ多岐にわたって連携している組織は他に無いのではないかと思います。また最近の報告を聞きますと、地域を活性化する先頭に立っている事例がとても増えてきています。それを見ていると、地域を活性化していく先頭に同友会が立ち、使命を持って進んでいかなければならないと思っています。

■今後の展望

源田:50年先を展望して、これからの広島同友会に必要なものについてお聞かせください。

粟屋:50年先にどんな変化が起きているかは誰にもわからないと思います。しかしこれからも必ず様々な変化が起き、それが経営課題に直結すると思います。同友会は全ての経営課題が解決または解決のヒントがもらえる、そういった会であってほしいと思います。

広浜:同友会では企業づくり・同友会づくり・地域づくりとよく言われます。企業づくりでは、経営指針を中心とした取り組みを行っていき、地域づくりでは、地域活性化の先頭に立つのは自分たちなんだという自覚を持ちながら前へ進んでいき、それらをベースに同友会づくりを皆で盛り上げていきたいと考えています。

国広:50年を振り返り改めて思うのは、環境変化の激しさ・大きさです。激しく変化する環境にはどう対応するか、先人は「強靭な経営体質づくり」を提唱しました。それには、経営者と社員の強い信頼関係が必要で、信頼関係を高めることで全社一丸の経営をつくろうと呼びかけました。この信頼関係を自社だけでなく地域にも広げていくこと。地域とは学校・行政・金融機関などですが、地域とあてにしあてにされる関係を作っていけば、どんなに環境が変化しても大丈夫ではないかと思います。

■まとめ

源田:同友会3つの目的の実現が進んでいることが、地域から認められる。人を生かす経営が具体的に進んで多様な人が働くことで幸せになる。そんな企業が広がり、豊かさや幸せを実感できる地域を実現するということが私たちに課せられた使命ではないかと思います。それが具体的に実現していく50年になればと思います。
しかし、現実は人手不足や原材料・エネルギー高など課題が山積みです。いかに経営が厳しくとも、みんなで力を合わせ、知恵を出し合い、企業で実践し共に成長するという同友会の強みを最大限生かして、皆さんと一緒に企業を発展させていきたい。それをもって同友会が発展し地域が豊かになっていくことを実現させたいと思っています。これからの50年も皆さん一社一社の具体的な実践の積み重ねが同友会の真実であります。事務局としても最大限支援していきますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(記:事務局 中野)