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2023.10.03

青全交18分科会レポート「『本当の』事業承継~愚直に向き合った14年間~」

■報告者:(株)青粒 代表取締役社長 永原 豊大 氏(兵庫同友会)

■日 時:9月14日(木)
■会 場:広島コンベンションホール
■参加者:96名(登録数)

自分が参加したのは、兵庫でモロヘイヤのサプリ商品を開発・販売を手掛ける経営者が、事業承継をするまでのお話。自身も後継者にあたるので、事業承継に関しての体験談を聞いてヒントを得たい、と感じて参加した。

永原さんの会社は、両親が起業した会社で、健康需要を見込んでの事業展開でした。時運が味方したこともあり、スタートから売り上げは爆増、急成長しました。
モロヘイヤは平成生まれの筆者からすると今ではあまり聞きなれない食材です。しかし、他の野菜では太刀打ちできない色々な栄養を兼ね備えた万能食材であることに注目し、サプリブームが始まったばかりの状況で、いち早くサプリ開発に着手した行動力は、当時の話を聞いている自身からしても見習うべき部分であることは確かであり、誰もがなりたいファーストペンギンのお手本だと感じました。会社が儲かったことで、永原さんは金銭面では何不自由なく育てられたそうで、毎年海外旅行に連れてもらえるなど充実した日々を過ごしたそうです。

しかし、当時の本人は会社を継ぐ気はなく、両親も甘やかす気はないとコネ入社を拒否し、大学卒業後は一般企業に就職して上京したそうです。

しかし、それから5年後に転機が訪れます。イベント会社の社員として働く永原さんが実家に帰省した際に、「社会人としてしっかり社会に貢献していることを嬉しく思う。もしこの会社を継ぐ気があるのならうちの会社で働かないか?」と父親であり、社長直々のヘッドハンティングの言葉をもらいます。永原さんは少し迷いつつも、親の会社のことを知りたいと感じて転職を決意し帰郷。思いがけない形ではありましたが、故郷に錦を飾ることができた、と思っていた永原さん。それからはトラブルの連続で3度の横領や部下とのトラブルで会社の基盤が崩れてしまい、追い打ちをかけるように2017年にはすべての事業が赤字になるという散々な結果に終わってしまいます。

同友会でもこの業績を突っ込む人が多く、「何を学んできたんだ」という厳しい意見を言った先輩会員の言葉で、初めて自身に経営者の自覚が芽生えた、と永原さんは噛み締めるように語りました。
それからは、経営者として社長と共に困難に立ち向かう中で父親のやってきたことの偉大さや尊敬すべき部分、そして自分ならこの会社をどう変えていけるかといった、一人の人間の成長の物語を見ているような気持ちで報告を聞いていました。

そんな思いが伝播したのか、グループ討論では後継者の人、後継させる社長の人が一緒になって、各々が考える「継承したい思い」や「継承させたい信念」などについて時間を忘れて熱く語り合うことができました。最後は懇親会の準備のため途中退出を余儀なくされましたが、これからの行動指針として余りあるほどの気づきを得られたことは幸運だったと言えます。最初は自身の思惑とは違った報告で残念がった部分はありましたが、経営者の自覚という部分においては、今後の活動のモチベーションになれる報告会でした。

記:アイウイングス(株) 相原 一哉