活動レポート
  • ホーム
  • >活動
  • >広島県へ「政策提案 第7回」を提出しました!
2023.09.26

広島県へ「政策提案 第7回」を提出しました!

9月12日、広島県商工労働局 幹部の皆さんとの懇談会を開催し、粟屋代表理事から広島県商工労働局 梅田泰生局長に政策提案を提出いたしました。以下、政策提案を紹介いたします。

広島県への政策提案 第7回

私たちは、「天は自ら助くる者を助く」という自助努力の精神を大原則と考え、主体的に自社の改善・改革に取り組み、自社の発展を通じて、地域の発展に貢献したいと、日々、経営に取り組んでおります。

平成29年(2017年)年10月に施行された「広島県中小企業・小規模企業振興条例」(「条例」)は、中小企業・小規模企業を「地域経済を支えるために欠くことのできない存在」として位置付け、多くの関係者が連携及び協力し、「その持続及び成長に向けた取組を支援していく」必要性を訴えています。私たちは、中小企業の自主性に依拠する「条例」の理念の共有と利活用に大きな期待を寄せています。

弊会が会員企業を対象に行った直近のアンケート調査(※ 以下、アンケート)で、現在の中小企業の業況DIは3半年前の▲5から改善し、3年振りにプラスとなりました。しかし、依然、回復力は弱く利益DIは17で、半年前よりも1ポイント下がりました。業況が改善するも原材料やエネルギー費の高騰などで、利益に繋がりにくい状況を示しています。そのような中でも経営問題のトップは、「従業員不足(35%)」で、半年前に「仕入れ先からの値上げ要請」にトップが変わりましたが、ずっと経営問題のトップに上がり続けており、中小企業において継続的で深刻な経営課題となっています。
これらの現状を踏まえ、中小企業を支え、活力を引き出すための政策をいくつか提案いたします。国の施策に関連するものも多々ありますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

1 中小企業憲章、「条例」のもと、中小企業の社会的意義を広げてください

  • 国は平成22年(2010年)に中小企業憲章を閣議決定し、平成29年(2017年)には広島県で「条例」が制定されました。さらに、中小企業庁は令和元年(2019年)に7月20日を中小企業の日、7月を中小企業魅力発信月間とし、中小企業の存在意義や魅力等に関して、正しい理解を醸成する機会を国民運動として提供していくとしています。広島県がリーダーシップをとり、各市町、経済団体、金融機関や学校など地域の連携で中小企業の日・魅力発信月間の具体的な取り組み、例えば社員家族参加日や企業参観日などがすすむよう支援をしてください。
  • 広島県の「条例」には「県の責務」として、第4条2「施策の策定・実施にあたっては、相互に連携して取り組むものとする」とあるように、「中小企業団体等の交流や連帯の場」をつくり、また「業種別の懇談会等」で業界の抱える課題を集約し、発信するように努めてください。
  • 地域でお金を循環させることで地域経済はより活性化します。地域循環を起こすためにも、条例の具体化のひとつとして、行政からの発注は可能な限り地域へ発注をしてください。そのための発注ルールを検討してください。その結果、県からの発注がどの程度県内に発注されたか、発注状況を公開してください。また、県内発注によって、どのような経済循環が起こったか、検証をしてください。

2 雇用を増やし、地域に人材を育む取り組みを

  • アンケートでは497人(34.9%)の会員が、従業員不足を課題としてあげています。雇用の確保は人口の流出を防ぎ、持続可能な地域に大きく貢献します。「条例」第12条に沿って、学校教育の中で健全な労働観や地域社会観を育み、中小企業も働く場の選択肢となるよう取り組みをお願いします。その具体的な取り組みとして、憲章の精神に則り、学校と中小企業者の連携、職場体験・インターンシップを小学校・中学校・高等学校・大学の授業の一環に組み込むよう提案いたします。呉支部は呉市と連携して「高校生のための企業ガイダンス」を開催。高校生や保護者に地域にある働く場を伝える取り組みを行っています。また、府中市立府中明郷学園では、コミュニティースクール取り組みの中で会員企業と連携しキャリア教育を行い、労働観や職業観の育成だけではなく、主体的な生徒の育成につながっています。各市町で中小企業を知るユニークな取り組みが始まるよう支援してください。併せて、Uターン、Iターンなど就職先に地域に根ざした中小企業もその選択肢となるような政策をしてください。

3 情勢変化を受けて迅速で総合的な支援を

  • 原材料やエネルギー費の高騰、資材や部品の入手困難、円安の進行、さらにロシアによるウクライナへの侵攻などの影響が中小企業経営を襲っています。アンケートの経営上の問題では「仕入れ先からの値上げ要請」が第2位(402名 28.2%)となりました。半年前からの上げ幅は、6%~10%上昇が432名30.3%、11%~20%上昇が298名20.9%と高止まりで上がり続けています。しかし、価格転嫁は1割~2割446名31.3%、まったくできていない391名27.4%と半数以上は十分な価格転嫁ができていない状況です。限定的な課題のみへの支援ではなく、複合的な要因にも対応した総合的な支援をしてください。特に県の公共事業や物品発注にあたっては、原材料価格の高騰や入手難に対応した予算やスケジュールとなるよう柔軟にすすめてください。
  • 最低賃金が引上げられ970円となるようです。最低賃金の引き上げは、働く人の購買力の向上など地域経済の活性化の観点からも重要な課題です。しかしながら、中小企業が賃上げできる環境整備なしに急速に進めることは、中小企業経営を成り立たせなくさせる可能性があります。中小企業の生産性向上のために企業規模の拡大論が取り沙汰されていますが、たんなる規模の拡大では付加価値生産性の向上にはつながらないことは歴史が示しています。最低賃金の引き上げの議論に際しては、①社会保険料の事業主負担への助成・軽減、②消費税の軽減、凍結、③適正な取引価格を順守させる、などの中小企業へ直接効果がつながる施策を同時に進めることが必要です。