「銀行との付き合い方」広島中支部同友ベストプロ勉強会
講師:(株)neutaral. hiroshima 代表取締役 松田 裕司 氏
4月21日、広島中支部の「同友ベストプロ勉強会」があり「金利が上がるってどういう事」をタイトルに、金融機関の貸付審査担当など24年の経験を持つ松田氏が講演を行いました。氏の報告は「今後の金利動向は」「今後の金融機関対応は」の2つのポイントで行われました。後半部分が前ページ記事の補完になると思いますので、ご紹介します。
中小企業庁のガイドラインについて
2013年に、全国銀行協会と日本商工会議所が「経営者保証に関するガイドライン」を策定しました。これを推進するため、経産省と財務省が連携して「経営者保証改革プログラム」を昨年12月に策定しました。今年の3月23日の中国新聞の記事で、経営者保証に依存しない新規融資の割合が、銀行ごとに一覧にされています。これで各金融機関のトレンドが判ると思います。
中小企業庁は、「ガイドライン」の3つの要件の全部または一部を満たしていれば、「経営者保証なしで融資を受けられる」「既に提供している経営者保証を見直すことができる」可能性がある、としています。
①資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
②財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
③金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている
(出典:中国新聞3月23日『地銀の明日⑤』)
3要件のポイント
- 法人と個人の分離…会社に経営者への貸付金がある、法人が使用している物件が個人所有になっている(会社が家賃を払っている)などがあると、法人と個人が明確に区分されているとは認められにくいです。ご注意ください。
- 財務基盤強化…償却後に利益があること。キャッシュフローで返済が可能である事です。
- 経営の透明化…毎月の試算表や毎年の決算諸表を金融機関に提出します。特に、「『中小企業の会計に関する基本要領』の適用に関するチェックリスト」の提出は重視されることがありますので、ぜひ税理士さんにご相談ください。
中小企業庁のホームページに「事例でみる経営者保証の解除」という資料がありますので、ぜひ、参考にしてください。
担当者に自社の持ち味をアピール
金融機関は貸出先の信用力をスコア(点数)化して、融資判断に用いることが多くなっています。これには、定量分析(収益性、安全性、成長性、返済能力など)と定性分析(経営者資質や企業の独自持ち味など)からの判断があります。
定量分析は数値によるので、過去の実績の積み重ねです。大事なのは、「定性分析のための情報を、金融機関の担当者と皆さんが共有出来ているか?」という事です。自社の経営理念は何なのか、同業他社と比較してどんな特別な技術やサービスがあるのか。将来の方向性はどうなっているのか…。
こうしたことをしっかり担当者と共有しておけば、経営会社の背景情報として有利に展開します。
経営者としての姿勢を正す
これから経営者として大事なことは、経営者としての法人の姿勢を正すことです。まずは毎月の経営状況をきちんと整備する。金融機関との対応に際して、時間・約束を守る。そんなところから始めてはいかがでしょうか。
記:事務局 橋本