「僕が公務員を辞めて 就労継続支援B型を開業したわけ」 報告者:(株)Turn 代表取締役 羽白 浩樹 氏(広島中支部)広島中支部中①②地区会例会報告要旨
大学を卒業し、商社に一年間勤務した後、広島市役所に就職しました。市役所での勤務期間では、様々な業務の改善策や新規事業を考え取り組みましたが、うまくいきません。その原因は行政組織特有の、前例踏襲主義や上意下達のトップダウンによる運営方針にある、と感じました。
自分の性格を考えると、どうも「やらなければならないことをする」よりは、「自分がやりたいことをやる」方が向いていると感じました。そこで市役所を退所し、独立することにしたのです。
■社名に込めた思いTurn
高陽地区には障害があっても働きたい方のニーズが一定以上あると見て、事業所(ディーセント高陽)を開きました。4階建てビルのうち、3階の一角約120㎡を改装し、訓練・作業室や相談室を設けました。
社名にした「Turn」には色々な意味がありますが、「これまでの障害者福祉の常識の転換」「就労機会の創出」「利用者の才能・能力を生かす」などの意味を込めています。
■就労継続支援B型とは
就労継続支援B型事業とは、施設を利用される方(利用者)が事業所に通いながら軽作業や事務作業、自社による商品づくりなどの「仕事」を通じて社会復帰や生活リズムの安定をめざす、障害福祉サービスのことを言います。障害や体調にあわせて自分のペースで働くことができます。
■大事にしている事
「障害福祉課」にいるときに知ったことがあります。本当に当事者の悩み事や関心事に耳を傾けて寄り添うような仕組みが社会の中に少なすぎること。就労継続支援B型事業所に通われている方の工賃(賃金)が少ないこと。特性や希望に合った仕事が少ないこと…。そうした働く環境に課題がたくさんあり、その解決をめざしています。
まずは、働きやすい職場づくり、居所作りです。 もう一つは自社製品の開発(アクセサリーの制作など)です。利用者の意欲を引き出すとともに、賃収入を向上させたい。 受注した仕事は、ミスが起きないようにスタッフによる検査・研修・マニュアルづくりを徹底しています。ある自動車会社のお仕事もいただいています。
また、一般就労しながら障害福祉サービスをうけることによって段階的な復職ができます。国は一定の条件の下で認めているのですが、広島市は一般就労に移行した=就労支援は不要という考え方で一律に認められていません。こうした状況にも、声をあげていかなければと思います。
■自立よりも自律を
利用者には、経済的な自立もさることながら、自律が大事ではないかと考えています。つまり、自分の意志で自分の行動を変えて成長し、自身の課題を発見して、生きていく力を身につけていく。そして一般企業への転身を図る。これこそが就労支援事業の本質ではないかと思うからです。開所以来、約1年半で4名の方を一般就労に送り出しました。
したがってそれに携わるスタッフには、マニュアル仕事ではなく、自分で考えて利用者に寄り添う必要があります。この利用者とスタッフ双方が、どうすれば主体性を発揮できるか。その答えを頂きたくて、例会報告を引き受けました。
■皆さんにお願いしたい事
まずは、お仕事を頂ければと思います。CSRの一環として考えていただいてもいいですし、単純作業の低コスト化による利益率アップのお手伝いもできると思います。 組立作業、機材・道具のリフレッシュ作業、研磨事業などのほか、PCを使っての入力作業(会議や講演の文字起こし、営業情報の入力など)、施設外の仕事(施設の清掃や農作業の手伝い、ポスティングなど)もお引き受けしています。
ディーセント高陽
https://snabi.jp/facility/22921
(Turnの公式ホームページは12月完成の予定です)