府中市に「条例」が制定~教育活動が柱
今年3月、広島県東部の府中市で、府中市中小企業・小規模企業振興基本条例(以下、条例)が制定されました。福山支部が12年にわたって働きかけてきた成果でもあります。その中心となった立石克昭代表理事(㈱タテイシ広美社 会長)と一緒に府中市役所を訪ね、実務を担われた経済観光部長の若井紳壮氏、商工労働課長の宮康展氏、商工振興係長の河内典明氏から、制定の思いや今後の展開について話を聞きました。
府中市は、古くは備後の政治・経済・文化の中心であり、新しくはものづくり産業のまちですが、人口減少と高齢化で危機感をもっています。
府中市で生まれ育った多くの若者が進学を機に府中市を離れます。戻る人は少なく、どうしたら地元で就職してもらえるかという思いを条例に反映しました。第11条に「教育の充実」として、「中小企業・小規模企業の事業活動及び地域経済に果たす役割について、児童及び生徒の理解を深めるための教育活動を行い、認識向上に努めるものとする」を明文化しました。大学四年生になってから府中市の魅力を訴えても遅いのではないか、小中高校生の時から中小企業の良さや優れた職人の技術を知ってもらい、生まれ育った故郷で働き、地域を元気にしようとの願いを持ってもらいたいとの意味を込めています。 特に、府中市では府中明郷学園という小中一貫校で、コミュニティスクールの取組が先行しており、模擬会社の設立や事業展開を地元の企業経営者の協力を得て進めています。この強みを生かそうともしています。 条例に先立ち、府中市では二年前に「オール府中」で産業政策の未来を示した産業振興ビジョンを発表しました。条例に示された振興施策と関連付けており、すでに、府中市産業連携室を設置し、産学官がつながり中小企業経営の課題解決をサポートしています。
現在、条例に基づいて産業振興会議を立ち上げようとしています。産業界や経済団体、金融機関、教育委員会など委員は一〇名です。市の職員も同数の一〇名が事務局として参加し、経済観光部だけでなく市をあげて取り組む予定です。