新支部長紹介 同友会で始まった我が社の挑戦 西研㈱ 代表取締役社長 寺本 博 氏(広島西支部長)
■散髪屋のような仕事をする
大学卒業後、たった2人で起業したのが西広島研磨工業(現在の西研㈱)です。300万円の資本金、汎用旋盤2台だけで切削工具の再研磨事業をスタートさせました。
切削工具とは、自動車・飛行機・医療分野・半導体・家電・機械・メガネ・スマホなど様々なものを作る際に使用される工具です。
西研で行っているのはその再研磨(使用済みの工具を研磨してまた使えるようにする仕事)。この仕事を選んだのは、1回限りの仕事ではなく、散髪屋のように何度も利用してもらえる、循環する仕事をしたかったからというのが理由です。
■価格決定権のある製品作り
再研磨が自社の主力とはいえ、再研磨の競争力が低下しているのが現状でした。東アジアの低価格切削工具の普及やリーマンショックなどが影響し、同業者も廃業に追い込まれました。 なんとかしなければという思いから、価格決定権のある製品の開発を決心しました。そして完成したのがクレアボーラーです。
従来の工具なら4~5時間かけていた加工が2~3分ででき、真っ直ぐきれいな穴を精密に開けることができます。また、削りかすの排出機構も備えており、日本だけでなく世界各国で特許を取得しました。西研の自社ブランド比率は現在一二%です。二年後に二〇%を目標にしています。
■物事のハードルが低くなる
新製品を開発して特許を取得するなんて、かつては想像もしていませんでした。同友会に入って、多くの経営者が日々挑戦していることを知り、物事のハードルが低くなったおかげで、私もいろいろなことに挑戦するようになりました。 ほかにも異業種の経営者や金融機関とのつながりができたこと、委員会(経営労働・求人社員教育・広報など)で勉強できたこと、学びのアウトプットの重要性など、様々なことを吸収できました。
イベントが多く、時間を取られすぎたり、「はい」か「イエス」しかなかったりとスパルタなこともありますが。
■明るく楽しい会社へ
とはいえ、同友会で学び実践し続けたこともあり、2人から始まった西研も大きくなりました。新卒採用を続けているおかげで、初期に採用した新卒が会社の中核を担うようになってきました。
創業から27年経ちますが、三菱重工のコンペで自社製品が採用、ISOの取得、特許出願、事業再構築補助金の採択事業に選ばれ新工場を建設といろいろなことに挑戦しました。
人はドキドキわくわくすることが生きがいだと考えています。わくわくしない人生は面白くありません。そんな思いを経営理念にも掲げています。西研はこれからも明るく楽しい会社をめざします。
会社概要
■創 業:1995年
■資本金 :3000万円
■社員数 :21名
■売 上:26100万円
■事業内容:切削工具の製作・加工・再研磨