南2地区会7月例会報告 なぜ、あなたが社長でなければならないのか?
なぜ、あなたが社長でなければならないのか?
この問いに
向き合ったことがありますか?
そんな投げかけに
深く考えることとなった南2地区7月例会でした。
報告者は広島県中小企業家同友会 筆頭代表理事でもある
旭調温工業株式会社 代表取締役社長 粟屋 充博 氏の体験報告でした。
粟屋氏が自身の体験報告をされるのは
なんと25年ぶりという大変貴重な例会報告ということで
例会参加者も90名を超える大盛況な例会となりました。
2001年、43歳で事業承継され、その後も順調に事業の舵取りをしていたところ、
2008年にリーマンショックが起こる。ニュースで見た瞬間、
「これは大変なことになる」
と直感した粟屋氏は、
自身の役員報酬と会長の役員報酬減額を即断しさらに2つのことを決断した。
1つは今期も絶対に赤字にしないこと、
もう1つは社員の雇用は絶対に守ること。
そのために、削れる経費は徹底的に削減した。
数年この危機的状況が続くかと予想されたが、
思いのほか回復は早く、予想通りその年は売上げが3割下がったものの、
黒字で終えることができ、社員のワークシェアリングも実施しなくて済んだ。
ただ、危機が過ぎ去った後、粟屋氏は、「最後は社長がなんとかしてくれる」と安心しきっている社員の姿に、強い危機感を持った。そこから、経営方針と行動指針を人事評価や賃金制度と連動するように制度改革し、会社の方針を社員一人一人の役割、行動にまで落とし込んでいった。
旭調温工業株式会社は、空調設備と冷蔵冷凍設備の設計施工が主力事業であるが、同業他社と比べて、設計が出来ることが強みとなっている。ただし、その強みをもっともっと活かしていきたいと考えているが、なかなか人の採用が進まない。高校とも緊密なやり取りをすることで、毎年紹介はあるが、設計を担える人材の採用と育成が現状と今後の課題である。
経営者は常に危機感をもっていないといけない。いつまでもお花畑が続くと思っているようでは、変化の激しいこの時代を生き残れない。そしてもう一つ、経営者は強い事業意欲を持っていないといけない。社員は社長のことを常に見ている。常に前向きで、意欲に満ちた姿を見せることが大切だと思う。
後継者は、先代を越えようなどと、そんな馬鹿なことを思うな!どうやってこの会社をより良くしていくか。先代の力を借りながらやっていく、それしかない。同友会活動も同じ。先輩を越えようとか思わずに、その人たちの力を借りながら、自分のできることで貢献していくことが大事。
「なぜあなたが社長でなければならないのか?」この問いに、向き合って欲しい
最後にはこう投げかけられました。
グループ討論では
活発な意見が出てどのテーブルもとても盛り上がって、青年部や他地区会、オブザーバーも多数参加されていて、今後10年の自社の課題や役割を真剣に語り合いました
世の中が変わっていくことで、
もしかしたら自社の仕事が無くなるかもしれないという危機感も共有されていました
全体感想としては
リーマンショックという危機を経て見えてきた、依存的な社員という組織の問題。
とてもリアルで、自分の会社のことのように感じられた参加者も多かったと思います。
同じような状況にあっても、それを危機と認識する人もいれば、まだまだ大丈夫と思う人もいる。
粟屋さんの力強いメッセージや、グループ討論を通じて、
自身の危機意識を相対化して見ることが出来た例会になったのではないかと思います。
いち早く危機を察知して、危機の芽をつぶしていく。
粟屋さんの経営者としてのストイックな姿勢に感銘を受けました。
また、本例会は、
「経営者の危機感をどのようにマネジメントすれば、社員自身が気づき、自分で考え、動きながら自身を変えていける、そんな組織になれるのか」
を考える例会にしたいというねらいがあったのですが、
粟屋さんに報告して頂いたことで、
ねらい以上に参加者一人一人にとって意味がある例会になったと思います。
ありがとうございました。