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2022.07.22

中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン ~中小企業憲章の理念を生かそう~

 2010年6月18日に「中小企業憲章」は閣議決定されました。7月20日は「中小企業の日」。7月は「中小企業魅力発信月間」です。  

■リーマンショックと東日本大震災

 二〇〇八年九月、米国の「サブプライム・ローン」の焦げ付きに端を発する世界的金融危機(リーマンショック)が起き、欧州諸国の連鎖的危機の進行と2011年8月5日の米国国債の格付け引き下げを契機とする世界同時株安が進行し、世界同時不況となりました。日本経済は、リーマンショックの大きな打撃を受け、さらにその回復の不十分な最中の2011年3月11日に東日本大震災が発生し、地震・津波・原発事故の同時的三大震災に遭遇し、被災地域のみならず日本全域において極度で過酷な状況に陥りました。  

■もう一つの成長戦略

 この様な状況下、中同協は、第43回定時総会(2011年7月5日・6日)で採択された議案の第2章第3節「中小企業憲章から展望する日本経済ビジョン」において、①「もう一つの『成長戦略』を描く」ことが求められていること、それは、②「中小企業憲章から展望する日本経済の発展方向」にほかならないこと、同時に、③東日本大震災からの復興を日本経済の新たな発展とすることを提起し、その上で、全会員による「討議資料」として「中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン」(以下、「日本経済ビジョン」と略称)を発表しました。
 上記三点が提起された背景に、中小企業憲章が閣議決定された2010年6月18日と時を同じくして、日本経済の今後を展望する「新成長戦略」が閣議決定され、そこには中小企業憲章が位置付けられておらず、中小企業政策の充実の視点も希薄でした。そこで中小企業の経済的・社会的役割についての基本理念を謳った中小企業憲章の観点からする「日本経済ビジョン」を描くことが必要となり、とりわけ、この様なビジョンに基づく東日本大震災からの復興の取り組みが、日本経済の新たな発展につながると考えられました。  

■地域経済ビジョンの必要性

 日本経済ビジョン(討議資料)発表後、各地同友会では学習会が始まり、「地域経済ビジョン」の必要性が確認されました。中小企業振興基本条例と地域経済ビジョンを〝地域づくり〟のセットと捉えて実践する先進的な同友会が多く現れてきました。広島県では廿日市市が、2015年10月に「廿日市市まち・ひと・しごと創生人口ビジョン」をつくり、これを基に2016年3月に「廿日市市産業振興基本条例」を制定された先進事例があります。  

■中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン

 その後も、学習会・地域づくりの実践は広がり、そこで得られた教訓・課題を基に「日本経済ビジョン」の改訂の検討が始まりました。世界経済はIoTに代表される技術革新(第四次産業革命)に発展要因として期待し、日本経済は、慢性的な人手不足・秋に控えた消費税増税の状況下、中同協は、第51回定時総会(2019年7月4日・5日)で「中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン」を公式に日本社会に発表しました。一中小企業団体が「日本経済ビジョン」を作成・発表するのは稀なことです。  

■今の情勢下で「日本経済ビジョン」を深めよう

 発表から3年が過ぎ、新型コロナウイルスのパンデミックを経験しアフターコロナを模索する中、ロシアによるウクライナの侵攻で、世界・日本も先の見えない大苦境の状況下です。同友会では、様々な厳しい状況下でも「人を生かす経営の実践」が有効であることが証明されています。
 「日本経済ビジョン」が、今後の道標となるのか?ありたい姿にふさわしいのか?大いなる議論と実践が、喫緊の課題ではないでしょうか。

(記 憲章・条例推進プロジェクト長 瀬島 髙志)

※「中小企業家の見地から展望する日本経済ビジョン」は、以下からご覧ください。
https://www.doyu.jp/org/material/doc/vision_20190709.pdf