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2022.06.17

県政策委員会の活動② 地域金融機関と良い関係をつくるには

 政策委員会は4月19日、中小企業経営者の金融知識を高めて地域金融機関と良い関係をつくろうと、学習会を行いました。講師は金融庁で初代の地域金融企画室長を務めた日下智晴氏(現 日下企業経営相談所 代表)。日下氏は広島の金融機関で企業の事業性評価を行い、その力を見込まれ金融庁にリクルートされた方です。昨年9月に定年で金融庁を退官するまでの六年間、企業に寄り添う伴走型の金融機関の在りかたを提起してこられました。
 日下氏は「金融機関の不良債権をあぶりだすためにつくられた金融検査マニュアルは、財務内容だけで企業を評価し、金融機関の融資行動を委縮させ、企業だけでなく地域のためにもならなかった」ことを指摘。また、「金融機関の主な資産は企業向けの貸出金であり、中小企業の負債の大半は金融機関からの借入金。したがって、中小企業と金融機関は融資によってバランスシートがつながっており、この関係を良くしていくことが企業を良くしていくことにつながる。金融検査マニュアルは廃止されたが、企業の事業性を正しく評価する力が金融機関に求められるようになった」と話しました。

 続けて、「金融機関は企業の事業をどう評価するか。一つは財務諸表による財務分析で、標準化されている。もう一つは知的資産の分析で、人的資産、組織的資産、関係資産など、標準化されていない。例えば、損益計算書では売上アップの数字は分かるが、なぜ増えたのかは分からない。製品・サービスが向上して増えたのか、営業努力で増えたのか。財務諸表の評価に加え、知的資産も正しく評価して企業価値を高めていく努力が金融機関に求められている」と説明。

 その具体例として「①金融機関の営業店の職員が企業に経営のニーズや課題を問いかける、②企業から事業情報(知的資産)を引き出し、評価情報に変える、③それを本部にあげると同時に企業にフィードバックする、④企業と金融機関の認識を一致させ、事業性評価に基づく融資を実行する、⑤場合によってはコンサル機能を発揮する。こうした一連の動きを丹念に繰り返すことで、金融機関は融資によって企業価値を高めていくことができる」ことを示しました。