「10年ビジョンづくりでめざす未来を共有」広島西支部廿日市地区会3月例会
報告者:ユダ木工㈱ 代表取締役 湯田 卓 氏(広島西支部)
新型コロナなど先行きが不透明な状況が続いています。廿日市地区会では、この状況下で10年ビジョンを社員さんと一緒にポスターにまとめた湯田さんから実践報告を聞いて学びあいました。
■先のことを考えて手を打つ
大正13年創業のわが社は、建具屋に始まり、生産の波が少ない規格品製造に取り組んだ父の代から木製ドアにこだわってきました。
父がヨーロッパ視察後に「ヨーロピアンドア」の構想を打ち立て、約10年後に当時珍しかったドア専門のブックカタログの発行にこぎつけました。
バブルの頃はマンション用のドアが売上を稼いでくれました。その後、数が出て売上は上がっても、値引きの連続で利益が伴わず、撤退するという大きな決断もありました。撤退する判断ができたのも、脱バブル崩壊の模索の中で開発した、ラスティック玄関ドアや国産桧の高断熱玄関ドアがあったからです。
目の前の仕事が忙しくとも、次の時代の主力商品の開発に取り組み続けたおかげで、現在のわが社があります。新しい商品や発想を現実にするには時間がかかることを自社の歴史からも感じます。
■夢ビジョン委員会スタート
それは未来も同じことです。同友会に入会して経営指針セミナーで経営指針は成文化し、社内で発表もしましたが、特に意見は出ませんでした。
その後、同友会の勉強会で㈱EVENTOSの川中さんや、㈲広島金具製作所の水ノ上さん、㈱デイ・ディライトの藤原さんのビジョンポスターを見て、「これをやらなければ!」と思いました。
2021年3月に「夢ビジョン委員会」のキックオフ。そこから月に1度、5つの部門のグループ長と若手社員、合計22名がグループごとに会議をしました。
話し合って現状を知るための社内アンケートを実施。結果をまとめて、将来会社や社員さんはどうあったらいいか意見交換を重ねました。さまざまな意見を見事にわかりやすく資料にまとめてくれたのは、新卒で入社した5年目の社員さんです。すごい!と思いました。
■ユダ木工のめざす姿 ~well-being
私たちのめざす姿は、自分たちだけでなく、周りの人もみんなが幸せになるwell-beingです。そして「働くをワクワクにしよう」と、もっともっと幸せになるための社内アンケートと議論を重ねて、「葉っぱの世紀ブランド」のわが社らしい大きな木をモチーフにしたポスターができあがりました。
昨年10月の夢ビジョン委員会では行動計画を考えました。グループで考えてくれた意見を整理すると、すぐできるものと時間のかかるものがありました。すぐできるものはすぐやる、そうでないものは、じっくり取り組むことになりました。じっくり取り組むことの中には、「地元プロチームのスポンサーになる」とか「山を買う」といった私がびっくりするような意見も出てきました。
■長くみんなが幸せになるためのビジョンづくり
この活動を通じて、情報が社内を行ったり来たりしました。これも良かったと思います。DXで社内の見える化をするなどまだまだ取り組むべき課題はたくさんあります。
わが社の歴史を振り返って、今から取り組んで一〇年後に実現するのですから、今日から取り組まないと実現が遅れてしまいます。実際、国産桧のドア(MIYAMA桧シリーズ)を発売した頃に、「みんなで年間1000本売りたいね」と言っていましたが、およそ10年の間に、玄関ドアに集中し国産材へシフトした結果、達成しました。
なるほど、だから10年ビジョンが必要で、1日も早く取り組んだ方がいいんだなと実感しました。
自分たちだけでなく、みんなが幸せになる、長く続く幸せを実現できたらと思っています。
<会社概要>
設立:1969年
資本金:4500万円
従業員数:41名
事業内容:高級木製ドアの製造販売 造作材・インテリアパーツの製造販売
URL: https://www.yudawood.com/