活動レポート
2022.06.17

「故郷で錦を織り続ける」ということ

「故郷に錦を飾るというのも良いが、私は故郷で錦を織り続ける、そんな生き方がしたい」と語る立石克昭さん(㈱タテイシ広美社 会長)。創業45年、生まれ育った府中市から、デジタルサイネージや広告看板などを全国に展開しています。
 立石さんが学校運営協議会の会長をつとめる府中明郷学園は12年前に小中一貫校となりました。全国に先駆けてコミュニティスクールを取り入れ、地元住民が学校教育に協力しています。スローガンは「地域の中に学校を 学校の中に地域を」、立石さんが名付けました。
 その府中明郷学園で、3年前から会社を経営する模擬体験の学習が始まりました。7年生で会社をつくりますが、特に力を入れているのは経営理念の策定です。八年生になると商品を開発、販売、決算を行い、利益の分配も行うという本格的なものです。本年度から、立石さんの呼びかけに地元企業の経営者七人が賛同して企業支援チームが立ち上がりました。
 3月、7年生は8年生から模擬会社を引き継ぎます。社名は「リンクス」。笑顔で人とつながり、社会とのつながりを広げようという意味で、経営理念を表しているそうです。社長・副社長・製造部長などの役割を引き継ぎました。
 3月17日、VR(バーチャルリアリティ)職場体験学習がありました。対象は7年生、1週間前に8年生から模擬会社を引き継いだばかりで、これからどんな経営をしていくのか、地元の中小企業2社をVRで見学し、参考にしようという授業です。(写真)
 1社は㈱タテイシ広美社の社員の早川貴光さんが説明、「一人で出来ないことはみんなの力を借りる。失敗の報告は30分以内に」など注意点も紹介。もう1社は高橋工芸㈱の社長の高橋和希さん、「人と同じことをやっていたら価格競争になる。オリジナリティが大切」と強調していました。
 企業支援チームの立石さんや高橋さんの「地域の存続が自社の存続。単なるボランティアでやってるのではない」との思いを聞いて、「故郷で錦を織り続ける」ことの意味がいっそう深まりました。