「同友会の活動と運営 ~同友会の主人公になろう~」役員オリエンテーション第6講(最終講)報告要旨
報告者:粟屋 充博 氏(代表理事) 旭調温工業㈱ 代表取締役
私が同友会に入会したのは28才の時です。32歳で地区会長になったのを皮切りに、約三〇年、会の役員をさせていただくことになりました。
今日お話しすべき内容は、「同友会運動の発展のために」に丁寧に解説してありますので、ぜひ読み返していただきたいと思います。
今日は、私が役員として心がけてきたこと、学んだこと、会員の皆さんと一緒に取り組んできたことを、お話します。
■中小企業憲章制定運動
代表理事になったばかりのころ、中同協の幹事会で中小企業憲章の制定運動が提唱されました。当時の私は「それは何?どんな意味があるの?」という状態でした。同じように感じた方も少なからずいらしたようです。そこで中同協は「学習運動」を展開します。その中で、私自身も「中小企業は経済を牽引する力であり、社会の主役である」ことを確信し、全国で取り組みが始まります。
私はこの間の中同協の取組みを見て、ごり押しせず、一歩下がって合意の形成に努めれば、全会一致というのはできるのだな、と実感しました。
■役員としての思いの変化
私は役をお引き受けする時に、自分が役員として何をすべきか、できるかを考えてきました。しかしその思いには変化がありました。
地区会長をお引き受けしたときには、自社と会員企業がよい会社になることしか頭にありませんでした。県企画委員長を引き受ける時には、会全体の事を思うようになり、代表理事になるときには、地域に視線が投げかけられるようになりました。
■なぜ私でなければならないか
地区会長時代、私はまだ常務でした。一泊研修会の折、ある会員さんに「どうして君は次の社長にならなければならないのか」と問いかけられました。答えに窮した私は、時間をもらって考え、10日後に答えをお話ししました。
実は、今日、お話して気づいたことがあります。県企画委員長や代表理事をお引き受けする際、1週間ほど答えに時間を頂きました。おそらく、先の「なぜ私でなければならないか」を考えたのではないか、と思います。
今でも「自分が社長でなければならない理由は何か」を折に触れ自問自答します。「わが社の発展と、社員一人ひとりの幸福を一番強く願っているのは私だ」という確信が答えです。
■同友会理念にたちかえる
同友会理念は「三つの目的」「自主・民主・連帯の精神」「国民や地域とともに歩む中小企業」の3つです。私たちは何気なくこの言葉を口にしますが、50年以上にわたる活動の歴史を背景にまとめられたこの考え方は、今でも新しく感じられる、先見性と普遍性を持っていると思います。
会の活動や運営に迷ったり悩んだりしたときには、この理念に立ち返ることが大事です。
同友会は大きくなると画一性が進むように思います。ところが広島同友会は、九支部がそれぞれ独自色を持って活動しています。これは多くの役員さんが、地域を愛し、会の理念に沿って活動してきた成果と言えるでしょう。
■一人ひとりを主人公に
多くのご来賓を総会にお迎えしたときのことです。「こんなに元気でたくさんの会員さんを、よくまとめていますね」と言われたことがあります。私は「まとめてはいません」とお答えしました。こんなにも主体的な経営者の皆さんが、簡単に誰かの言う事をうのみにするわけがありません。皆さんが「自主・民主・連帯の精神」を大事にされているから、うまくいっているのだと思います。
役員は「私たち」という言葉をよく使います。役員の仕事とは「私たち」と感じる会員さんを増やしていく事、それが一人ひとりの会員さんを、主人公にすることではないか、と感じています。