経営フォーラム2021 第3分科会「 社員が夢を叶えることができる会社をめざして ~福山支部の『経営者大賞受賞者』が語る経営指針実践による変革!~」
報告者 ㈲シャルダン商会 代表取締役 藤田 哲也 氏
■代表就任~現在まで 数字と経営者の姿勢の変化
2013年に社長就任をしました。当時、私は常にピリピリしており、社員は私の顔ばかりみて仕事をしていました。そんな経営の結果、2015年に重大な事故を起こしてしまいます。その後2年間は社員が信用なりませんでした。そんな時に同友会に誘っていただきました。会員経営者が楽しそうに社員や経営の話を語り合う姿を見て、藁にもすがる思いで入会しました。
地区の先輩からのアドバイスで、2019年に経営指針を成文化し、発信しました。自分で考えて経営することで、より学びは深くなりました。その結果、入会後、売上を大きく伸ばすことができました。
現在は働きやすい職場づくりにも取り組み、社員数を増やし続けており、毎年昇給もしています。学校・社員から採用を続けることを期待されています。
社員さんは素晴らしい能力を持っています。これからも一緒に経営の維持発展に向け、取り組んでいきます。
■経営指針書と学びと ブラッシュアップ
経営理念は毎日唱和して、マインドセットをしています。経営方針は毎日読み合わせをして、行動の規範・習慣を確認し、協力して取り組むこと、お客様への姿勢、働きやすく安全な職場をつくることを共有します。ビジョンは情熱的に発信し、生活の質の向上や、生産能力の向上に取り組むことについて一緒に考えます。経営計画は、週に1回、会議で進捗状況を共有し、改善に取り組みます。そうすることで、シャルダン商会がもつ、営業力・コミュニケーション力・レスポンス力・機動力等を、しっかりと市場に投入できるのです。もちろん、市場からの情報収集も欠かせません。お客様にアンケートや訪問等を行い、経営指針をブラッシュアップしていきます。この流れを繰り返すことで、経営指針がよりよくなると思います。
■社内実践
同友会での共育とは、知ること・学ぶことです。中小企業にとって、会社の成長の全ては人です。弊社の朝礼では、経営理念の唱和と、方針の読み合わせを行います。文字を読んでもらうことで、個性、学びの度合いがわかります。
コロナ禍は一致団結しないと乗り越えられません。考えたことを実践に移すために、会議で情報を共有します。実践した後は、しっかり振り返りを行います。
面談は年に2回行っています。感謝を伝え、良い部分や一緒に考えたいこと、個人的な夢や会社のビジョンについて話をします。逆に、答えに詰まる質問をいただくことも。安易に答えず、お互いに納得できるように考えていきます。離職が少ないのは、個人面談を続けているからだと感じています。
勉強会や資格等は会社で全額補助をしています。社員の学びが会社の維持発展につながると、信じています。
小集団活動は、同友会の小組会の組織編制を参考に、3S・安全な職場等の目標を立てて活動しています。少数集団で協力して実践する大切さを学び、より安全で効率的な職場づくりを考えていただいています。
都合の良い情報だけではなく、社員さんが知りたいと思った情報は全て開示をしています。経営者独りで数字を見るよりも、皆で数字を見て、改善する方が良いと考えているからです。
■指針書実践後の社内変化
事業ドメインを広げて、倉庫業を開始し、保管・流通加工・運送までワンストップで期待に応えられるようになりました。倉庫業に付加価値を持たせるために、お客様の困りごとを聴いていきました。すると、「夏の間、温度と湿度が管理できないか」という提案をいただきました。少ない予算の中皆で考え、低湿度の倉庫を導入でき、沢山のお客様から興味をもっていただきました。困りごとに応えることは、必ず売上や利益に繋がります。今後も提案し続けたいです。
同友会内の同業者と、協力体制の確立を行っています。同友会企業の社員さんは、品質も、お客様に対する心構えも素晴らしいです。運送会社は閑散期・繁忙期の波が大きいです。波動を受け止められているのは、協力会社のおかげです。
新卒採用について、委員会等で学び、職場環境を整備してきました。採用担当者に、「新卒の募集にチャレンジしたい」と伝えたところ、一緒に方法を考えてくれました。社員は、良い会社にするためにも、新入社員を大事に育ててくれます。
地域貢献として、こどもミュージアムプロジェクトへの参加や、アイネス福山へのいつでもだれでも演奏ができるストリートピアノの寄付等をしています。社員とお客様が、ピアノを話題に、楽しそうに会話をしていました。運んだもので、人と人がつながっていく様子を見て、感動しました。これからも社員と協力して、地域に笑顔を増やしています。
■経営指針と人を生かす経営で維持・発展をめざして
会社の維持発展に、近道は無いと思います。大切なことは、継続的に学び続け、沢山の行事に関わること。経営者の姿勢の確立し、社員と向き合い続けること。社員と一緒に学びつづけることです。同友会に入会するまで、正直、以前は「一緒に学ぶ」ということは考えたことがありませんでした。今では学ぶことにお金を惜しまず、沢山の知識をつけていくことが大切だと思うようになりました。 指針を通して、夢や想いを共有して、人を生かす経営の実践をし続け、その上に維持発展があるのかなと思います。シャルダン商会はそのどれか一つでもなくなったら維持発展が難しいと考えています。
■『夢』への挑戦・・・
社員の夢や想いについて、紹介します。
営業所を一か所出すことを宣言した時のことです。若手3名が責任者に名乗りをあげ、プレゼンをしてくれました。新しいことにチャレンジをする熱い思いと不安な思いが伝わってきました。役職者も一致団結して取り組むことを約束しました。
将来、シャルダン商会の幹部になる女性社員がいます。恥ずかしい話ですが、弊社はまだ男性社会です。それでは経営を維持発展できません。彼女たちは時間管理が素晴らしく、固定観念が少ない印象です。彼女たちによって新しい考え方や新しい働き方が生まれると思いますので、必要不可欠です。
■最後に
コロナ禍の影響はとても大変です。生活様式、働き方改革、経済動向等、変化が速すぎます。弊社も影響が出てきています。当社が運ぶものには半導体を使うものが多く、テレワーク等が進むと減少してく商品です。ですが、あきらめずに実践し続ければなんとかなると考えています。同友会に参加し、結果を出している企業の話を素直な心で聴き、愚直に社員と共に実践していくしかありません。
コロナ禍で不安もありますが、経営者であることに感謝しています。社員と夢を笑顔で語り合えることは、とてもありがたいことです。
大事なことは、夢やビジョンを見える化して発信し続けていくことです。皆さんにもすばらしいビジョンや夢があると思います。清く・明るく・気にせず、発信していってください。そうすることで周囲のハートに火が灯り、協力者が現れ、知恵や力を貸してくれます。必ず、いい方向に向かっていきます。
私たち中小企業家が、笑顔で夢や想いを発信することで地域に貢献していきましょう。
同友会が、沢山の笑顔とビジョンで溢れることを願っています。
【会社概要】
設立:1980年5月15日
社員数:48名
事業内容‥ピアノ・精密機器の専門輸送
https://shaldan-ltd.com