活動レポート
2021.12.21

二年後に始まるインボイス制度とは!?

 県政策委員会(宮﨑基委員長)は10月19日、消費税のインボイス制度の勉強会をZoomで行いました。講師は中同協の税制プロジェクト長の沼田道孝氏。ポイントを紹介します。

 インボイス制度とは、2年後(2023年)の10月1日から始まる消費税の複数税率に対応した仕入税額控除の新しい方式です。適格請求書等保存方式といわれ、登録を受けた事業者(課税事業者)のみが適格請求書を発行することができます。税額控除の適用を受けるには、インボイス(適格請求書等)の保存が必要になります。
 課税事業者になるには、税務署へ申請が必要です。課税事業者でないなど要件を満たさない不適格インボイスを発行すると、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科されることになっています。

■免税事業者が排除?!

 これまでは「帳簿方式」といって、帳簿に記載されていれば、消費税が課されているとして課税仕入れの計算ができていましたが、新しい制度では発行されたインボイスのみが課税仕入れとなります。したがって、免税事業者(売上1千万円以下)は課税事業者ではないのでインボイスを発行することができず、取引相手は課税仕入れにならないので、取引から排除される可能性が高まります。
 全国の免税事業者の割合は43%(法人は18%、個人は70%)と推定され、取引から排除されるだけでなく、中小企業の事務負担は増えるので、廃業が増加するかもしれません。
 廃業の増加と同時に、今、国が進めている副業のすすめに逆行し、フリーランスの働き方、ギグワーカーの存立基盤が危うくなります。また、免税事業者の否定は、事業の多様性、新たな市場の創造等、地域の活性化を否定することにつながります。

■学習しよう ~宮﨑基政策委員長

 インボイス制度の導入が間近に迫ってきました。対象となる免税業者は、約百万社とも言われています。売上高1千万円以下の小さな商店や工場など、打撃を受けるのは必至な状況です。これを機に、廃業という選択肢を選ばれる方も多いと思われます。それでなくても、一昨年の消費税増税から始まり、コロナ禍、資材不足、資材の価格高騰など小規模事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。また、経営課題も、人材不足や売上不振、後継者不足など枚挙にいとまがない状況です。ただ、そのような環境であっても私たちは、経営を維持し発展させなければなりません。
 インボイスについて、同友会全国協議会では「凍結」の方向で国に提言しています。しかし、未だ先が見えない状況です。また、インボイスについては「何のことか分からない」「インボイスって何」という声も多く耳にします。とにかく、まずインボイスをよく理解し、そして今から対策を考えていきましょう。そのために、政策委員会では各支部での勉強会を企画したいと思っています。今から2年後に備えていくことが重要だと思われます。