「同友会の理念 ~三つの目的・自主民主連帯・地域と共に~」役員オリエンテーション第3講
報告者:日鐵鋼業㈱ 代表取締役 能登 伸一 氏 (副代表理事、福山支部)
■同友会の理念とは
同友会の理念には三つあります。
第一は「三つの目的」です。第二は、「自主・民主・連帯の精神」です。第三は「国民や地域と共に歩む中小企業」です。役員の最大の任務は、この同友会の理念に正面から取り組むことだと思います。
■役員になる前の我社
わが社は鋼材の加工販売をしています。私が入会したのは30年前。支部理事になったのが20年前です。
それまでの我社は、お世辞にも良い会社とは言えない状態でした。役員になって全国大会をはじめ、様々な活動に参加しましたが、それは「わが社をもっとましな会社にしたい」という、切実な思いからでした。そこから会社を変えていく取り組みを始めました。
■手始めは経営指針の成文化
最初に取り組んだのは経営指針の成文化です。しかし、そう簡単にはいきません。理念の唱和をし、朝礼を行い、会議を行っても、社員はなかなかこちらを向いてはくれません。それでも粘り強く、社員とコミュニケ―ションをとるようにし、少しずつ信頼関係を築くように取り組みました。
その後の取組みでも実感しましたが、社員は実によく社長を見ています。また、言われたこと、特に自分に不利益になることは、決して忘れてくれません。その意味でも、労使見解を学び、謙虚な姿勢で社員一人ひとりに愛情とエネルギーを注ぐことが、本当に大事だと思います。良い経営者をめざすことは、三つの目的実現の第一ボタンだと感じています。
■会社を変えたGCH
2011年、福山支部長を引き受けたとき、所信表明で基本方針「GCH(社内総幸福=Global Company Happiness)を掲げました。これは当時話題になったネパールの「国内総幸福」をもじったものです。言ったからにはと「日鐵内総幸福」を掲げて、社内での実践に努めました。
実践の柱は三つあります。第一に会社の見える化。第二は十分なコミュニケーションです。第三は、誇りの持てる会社づくりです。こうした取り組みを通じて、「社内に合意と納得」、言い換えれば「自主・民主・連帯」の風土をつくるように取り組んできました。そしてその取り組みこそが、「経営者としての自身を革新する」ことであり、「よい会社をつくる」取組みだったと思います。
この延長で、3S活動に取り組み、2015年には全国大会で最優秀賞を頂くことができました。成果として利益が出れば決算賞与を出すことを経営指針に明記していますので、社員はわがこととして取り組んでくれたのです。
■地域に寄り添う経営
我社がめざすのは、地域の皆様に愛され、地域とともに発展する企業です。支部長時代に特別支援学校の企業見学を引き受けたのをきっかけに、障害者雇用にも取り組みました。エコアクション21への取り組みは、「地域のための取組みとして、主体的に取り組んでいる」とS判定を頂きました。金融機関の勧めで、一一月にはSDGs宣言を行なう予定です。
地域の労働人口の7割が働く中小企業には、地域へのモラルが問われていると思います。
■同友会発展の原動力
大阪での全国総会で、山中伸弥教授が講演で、成功=ビジョン×ハードワーク、と語りました。これを同友会での学びに置き換えれば、成果=指針×取組み、だと思います。
会員の一人ひとりが、自分なりの良い会社づくりに励んで成果を出す。その結果、会は発展するのだと思います。役員の任務の第一は、ここにあるのではないでしょうか。