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2021.06.02

『コロナに負けない自社商品づくり』 ~いつかやりたかったことに、今こそ挑戦!~【企業訪問】東洋省力(広島西支部)


ドアオープナー Mint(ミント) ふたつならべるとハートに!
「これ、できたばかりの自社商品。カッコいいでしょ?」と社長の日高さんが見せてくださったのは、金属製の非接触型ドアオープナー。「よくあるあれですか?」と聞いたら叱られました。「使う場面を考えぬいた形なんよ!指も2か所かけられるし、車のキーにつけても格好いい。ステンレスと真ちゅう、マットとブライトも選べるんよ!」「…失礼しました」
 
やりがいと喜びを共有したい
 
 日高 正典 氏
 東洋省力㈱は、創業40年を超える精密板金・製缶業。先代のお父様を含め3人で創業された後、「やればできる」「できないのは努力が足りないから」と、ものづくりの技術を磨き、加工の幅を広げてきました。  現社長の日高さんが社長を引き継いだのが2012年のこと。加工業ならではの悩みと夢がありました。それは、BtoBでは感じにくい自社の技術を存分に発揮し、お客様に喜んでいただける自社ブランド商品を持ち、社員さんにもっとお役立ちの喜びとやりがいを感じてもらうこと。  
 昨春から影響の出始めた新型コロナ。製造業や建設業では受注残があり、飲食業やホテル業よりは遅れて影響が出始めました。輸出型製造業のお客様からの受注量が激減し、自社の売上も減少。  
 新型コロナの収束が見通せない中で取り組んだのが、自社ブランド「T.Y.style」の立ち上げでした。  
 早速、オリジナルのアイアン家具、店舗什器、DIYパーツ等の販売サイトを整備し、SNSで発信し始めました。  
 冒頭の非接触型ドアオープナー「Mint(ミント)」もそのひとつ。設計段階から検討を重ね、考え抜かれた形になりました。名前もハーブと同じで、さわやかなネーミングになりました。これも社内で公募し90もの案が出されたとのこと。  
 そのうちの、Metal Instead Touch(金属、代わり、さわる)の頭文字を取ってMintになったそうです。  
 「いつも一品ものを作っている社員さんでも『開発』というと大変なことに感じるんです。でも、Mintは金属板をカットしたらできあがる。これを見た社員さんが、『これならできるかも』と次のアイディアが出てきたらいいなと思っています。新商品を考えついても、行動して実現しないと、すぐに他社が似たような商品を製造販売してきますからね。やってミント!(笑)」
 
お役立ちできることを考える 
 「精密板金の会社が店舗什器?」と思われるかもしれません。これ、実は知りあいやお客様からの相談で製作したら、さらに紹介で広がっていったのだそうです。  
 毎回お客様のお悩みを解決する部品などを提案して製造するので、考えれば何でもできるのだそうです。「できないのは努力が足りないから、だと思います」と日高さん。  
 ある日、食事に行った先で、カウンター席の隣の席との間のパーテーションの位置が気になったそう。人が座っているところまでパーテーションがないと飛沫が隣の席まで飛びかねません。しかし、固定で幅広いものを置くと通路をせばめて邪魔になります。  
 ならば、と企画製造したのが、スライドパーテーションでした。設置する人のことも考えて、取り付け簡単で工具いらずになっています。
 
台座にあわせて横にスライドするパーテーション 
 アクリル板を支える台座はさびにも強いステンレス製。「きちんと飛沫防止できて、設置もお手入れも簡単な方がいいですよね。いろいろ考えてこの形状になったんです」とあくまでもお客様目線。  
 このほか、その道では有名な方とコラボでキャンプギアを開発中だそうで、秋までにはクラウドファンディングで募集。12月頃には販売開始したいと準備中だそうです。  
 これからも今ある技術を磨き、お客様に役立ち、喜びとやりがいのある仕事をしていきたいとのことでした。今後の展開が楽しみです。

【会社概要】 創立1978年 資本金:1000万円 社員数:23名 事業内容:精密板金・製缶業