「変化を恐れず、変化を楽しむ挑戦経営」広島中支部3月例会報告要旨
報告者:㈱スタジオアイ 代表取締役会長 相川 敏郎 氏(呉支部)
■写真館を飛び出して営業
私は島の写真館の息子として音戸町に生まれました。写真短期大学を卒業して、父の経営する相川写真館に従事します。
当時の写真業界は全くの待ちの経営でした。私は営業が好きでしたので、町中を歩き回って仕事をとってきました。神社を説得して七五三の写真を撮ったり、結婚写真の前撮りを始めました。やがて評判が広がり、呉市で7割のシェアがある結婚式場の写真室を担当することになりました。仕事が天から降ってくる状況で、営業が大好きな私には多少の違和感がありましたが、売上は呉で一番になりました。同友会に入会したのはこの頃でしたが、意識がなくて参加していませんでした。
■経営の事を何も知らない
入会して3年、社員も増え、その家族も増えてきました。「自分は社長とは呼ばれているけれど写真の事しか知らないな」と感じていました。たまたま同友会の経営計画策定セミナーの案内を見て、社員の将来のことを考え、「経営者としての勉強を始めておかないといけない」と感じ、そこではじめて同友会の活動に参加しました。
受講してみた結果、「自分は経営者としては何も知らない」ということがはじめてわかりました。「社長はこんなことも勉強しないといけないのか、このままではいけない」と感じ、まじめに同友会の活動に参加するようになりました。
■時代にあわせて変化する
平成5年、参加した業界の勉強会で、婚礼数の激減がまもなく来ることを知りました。実際に、式の多様化も始まり、式場の件数も減り始めます。そこで自社経営の写真館の一号店を開館しました。その半年後に結婚式場が閉館しました。
またデジタル化の波もやってきました。社内に抵抗もありましたが、展示会などで実感してもらう事で、納得を広げていきました。
店舗展開を行うためには、社員の育成が不可欠です。どうやればいいのかを知るために、事務局に依頼して、当時伸び盛りだった㈱ププレひまわりさんの社員研修見学をさせてもらいました。
新しい挑戦ができる体制をつくらなければと、同友会で社員教育計画を作る勉強会を立ち上げ、「教育体系図」と「あるべき人物像」を作りました。
創業80年の時に社長を息子に譲りました。私は父親に好き勝手させてもらったので同じようにすべてを息子に任せました。
■コロナへの対応
コロナが蔓延し始めた頃、早く手を打つことが必要だと思いました。
まず、徹底した経費の削減を行いました。備品などの購入は、上司の許可制にしました。広告宣伝費を削減するために、チラシや紙媒体の案内等を廃止。これまでの顧客管理を元に、メールやSNSでの情報発信、QRコードリンクからのコンテンツ参照に変更しました。予約調整で、効率的な人員配置も行えるようにしました。補助金も大いに活用しました。
撮った写真はお客様の自宅で選んでいただくシステムに切り替えました。お客様の店内滞在時間が減ったので、浮いた時間を他業務に振り分け、サービス向上を図りました。
ルーティン業務を自動化したり、休業中の社員のフォローアップ体制を整えました。
こうした取り組みを積み重ねて、過去最高益を達成することができました。
■学んだことを実践しよう
勉強会などの場で学びを得たとしても実際に実行する人は僅かです。大事なのは、業界の将来を見据えて自分と自社を変えていく事です。一つでもいいので、何か聞いて「あっ!」と思ったときに行動に移せばそこで周りと大きな差が生まれます。だからこそ変化を恐れず、変化を楽しみ、チャレンジするのです。