東広島支部2月例会「経営指針で会社と自分を変える ~プレイングマネージャーからの脱却」
報告者 ㈱住まいのQUEST 代表取締役 藤井 大聖 氏(福山支部)
●過去も変えられる
私は同友会に入って良かったと思う中の一つが、「自分史」の捉え方です。過去を振り返り気づくことが多々あります。当時は不幸だと思った出来事が、現在の視点で捉えると逆に幸運だったと思えるからです。実は私は高校中退です。学生時代、自宅は「たまり場」だったのですが、中退してからは集まる仲間が変わってきました。人は環境に流されやすいものです。もっと言えば、自分自身に考え方の軸がないと流されてしまうのです。夜の仕事を転々とした後、約5年間、土木の仕事にも携わりました。
23歳の時でした。実家が家主業をしていたこともあり、宅建資格を取得しようと思い立ちました。この時ほど死ぬほど勉強したことはなかったかもしれません。現在の妻ですが、当時の彼女の支えがあったからこそやり遂げられたと思います。
●相手目線の重要性
1999年、資格取得を機に、不動産会社に入社します。自信がついたことも大きいと思いますが、連続トップ営業をとれるようになり、2005年に支店長となり、この勢いで青年部に入会しました。
私にとっては、青年部会での学びは原点です。同世代との切磋琢磨の関係は、大きな刺激、モチベーションでした。青年部会での活動がより楽しく感じていた2010年に退職を決意し、2011年2月に創業し、現在至ります。
特に、2013年に青年部会長を引き受けた年。大きな転機になります。経営理念がようやく成文化でき、社員も2人採用しました。同友会も仕事も、とにかく必死でやっていました。ところがその年は3カ月連続赤字、年間赤字も初めて経験しました。結局、採用した2名の社員も退職してしまいました。今思えば、社員には私の価値観の押し付けをしていたのではないかと思えます。自分目線ではなく相手目線の重要性を気づ瞬間でもありました。
●流されないために必要な「軸」
この経験が、私を経営指針の成文化と実践に踏み込んでいく契機になりました。先輩会員に教えを請いながら、厳しいアドバイスを受けつつ、集中して3カ月で経営指針をまとめました。
経営指針を成文化して良かったことの第一は、周囲に流されない考え方の軸が明確になったことです。また、経営指針は会社の羅針盤だと思います。何を目的として、どこへ行くのか、それをどのように達成していくのか。それを社員と共有するための道具でもあるのです。経営指針の共有は、年に一回「経営方針大会」を開催し、社員と一緒に指針を深めています。あとは毎日朝礼で確認しています。
●課題がない経営者は危ない
わが社の事業コンセプトは、「人と街と不動産をベストマッチング~不動産に関する頼られ業であり、ハッピーストーリー業」。社員の目線で考えた時、大事にしたいことは、良い職場環境を作ることであり、社員が誇りの持てる会社であることです。
お客様に対しては、お部屋探しと不動産のことは「住まいのQUEST」として発信し、感動と信頼を提供する会社として、期待以上に応える本物のプロ集団をめざしていきます。
これまでの同友会での最大の学びは、同友会が推進していることや先輩からの教えは、素直に実践する。そして、良かったことはアウトプット(伝える)することが、大事だと思います。また、自社の課題に気づけない経営者は危ないと思います。どんな会社にも必ず課題はあります。課題にアンテナを張って参加していると気づきやアイデア、解決の糸口が同友会で発見できるのです。