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2021.03.29

格闘する中小企業~経営課題アンケートに840人から回答

県政策委員会(宮崎基委員長)は、一月一二日から三〇日にかけて、今年度第二回のアンケート調査を実施、八四〇名の皆さんから回答がありました。長期化するコロナ禍に負けず、格闘する皆さんの姿を紹介します。

(※DI=傾向をみるための数値。DIが100に近づくほど良い(上昇)、-100に近づくほど悪い(下落)ことを意味する)

1)厳しい状況は続くが、最悪期は脱っする!?

 第一の特徴は、業況判断DIは-20を示し、依然厳しい状況が続いていることですが、半年前より6ポイント改善しており、最悪期は脱したようにも見えます。
 業種別(表①)にDIをみると、製造業が-46で一番厳しく、逆に建設業は+7を示しました。さらに細かく業種を分けると、製造業の中では印刷が-75、輸送機器が-71、金属製品が-67と大きく下がっています。建設は総合工事が+25で、職別工事±0、設備工事-23と続きました。卸小売りでは、建築材料-42、機器-35、食品-23となりました。サービスでは、飲食の-95が大きく、広告-47、福祉-38と続き、同じ業種の中でも厳しさは一様ではないことが分かりました。

2)需要が停滞し価格競争は激しいが、人材は不足気味

 第二の特徴は、人の移動が止められた中で当然かもしれませんが、「需要が停滞している」との声が強くなっている(36%)ことです。二年前(15%)と比べ、二倍以上増えています。いきおい少ないパイを巡って「価格競争は激しい」と四分の一が指摘しています。(表②)「取引先の減少」が問題としたのは21%で、じわり上がっているのが気になります。
 第三の特徴は、景況の厳しさにも関わらず、「従業員の不足」(27%)が経営上の問題点の第二位に入ったことです。また、「人材が不足気味である」と答えたのは44%にのぼっています。中小企業の人材難は、構造的な問題としてとらえるべきでしょう。

3)当面の資金繰りは大丈夫だが、返済は心配

 資金繰りについて、「借入を行った」と答えたのはほぼ半分の54%でした。「資金繰りはどの程度大丈夫か」との問いに51%が「一年以上」と答えました(表③)。
 当面の資金繰りは確保しているようですが、当然ながら、ほとんどが運転資金で収益増を見込んだものではなく、借入金の返済には長期間かかると思われます。返済時期を債務者の事情で決められる長期資本性ローンの拡充が求められます。

4)規模や減少に応じた支援策を

 コロナ禍で活用した国の支援策(表④)のトップは「持続化給付金」(41%)、二位・三位に実質無利子無担保融資(政府系34%、民間33%)、四位に雇用調整助成金(26%)と続きました。
 時短や休業の要請が出されていた飲食の会員からは「企業規模や売上減少の程度に応じて支援の幅を変えてほしい」という声や飲食以外の会員からは「売上は半減しているが該当する支援がない。自分たちも何とかならないか」という要望が寄せられました。
 また、雇用調整助成金の特例は六月末(一律適用は四月末)までとなりましたが、「コロナ収束までの延長」を求める声も多くありました。

5)進むデジタル化

 コロナ禍でIT化、デジタル化に新たに取り組んだのは、「オンライン会議の導入」(36%)がトップでした。いち早くZoomを導入し、活用を広げた同友会の役割も大きかったでしょう。テレワーク、リモートアクセスの導入、コミュニケーションツールの導入など、様々に取り組んでいることがわかりました。
 デジタルに対応できないと経営の存続が難しくなりそうで、デジタル化への取組について「特にない」と答えた30%の会員が気になります。

6)関係先へ政策提案

 アンケート結果をもとに「当面の事業継続」と「今後の経営発展」の二つの視点で政策提案にまとめ、国や県などに発信しました。
 主な提案は次の通りです。①自粛や休業・時短などを要請する場合は万全の補償を行うこと。②コロナ収束まで雇調金や金融支援を継続し、消費税の時限的凍結を行うこと。③三月から公募が始まった「事業再構築補助金」については、希望する中小企業が活用できるよう拡充すること。④長期資本性ローンを拡充すること。⑤県内移住者が増えるような施策の充実。