広島エリア支部長座談会 「Human First! 人が真ん中の経営でコロナをぶっとばせ!」
登場人物
発言者:広島中支部長 村井 由香 氏(㈱キャピタルコーポレーション 代表取締役)
広島東支部長 中島 博文 氏(㈱モリタカ 代表取締役)
広島西支部長 湯田 卓 氏(ユダ木工㈱ 代表取締役)
広島安佐支部長 今津 正彦 氏(㈱アイ・エム・シー ユナイテッド 代表取締役)
司会:広島エリア広報委員長 毛利 武雄 氏(㈱TomTak 代表取締役)
毛利:あけましておめでとうございます。
全員:おめでとうございます。
毛利:広島エリア広報誌「ひろしまねっと」が復活して1年になりました。そのころから、コロナの流行が始まりました。そこで、新年の企画として、「Human First! 人が真ん中の経営でコロナをぶっとばせ!」と題して、支部長の皆さんの座談会を企画しました。今日はよろしくお願いします。
全員:よろしくお願いします。
■自社は何業?
毛利:まずは皆さんのお仕事を「〇〇業」というキーワードでお答えください。
今津:広島安佐支部長:我社は「ものづくりプロデュース業」。製品ができる前の模型をつくるのが仕事です。基本は下請けですが、プラスワンの提案を加えていく、企画提案型企業ですよ。
中島:広島東支部長:防犯環境の設計・施工をしています。「安全・安心空間創造業」といったところですね。どうやったらこの建物を守れるか、社員と情報を共有しながら、取り組んでいます。
湯田:木工業でドアなどの建具を製造・販売しています。生活が楽しくなるようなものづくりを進めたい。「わくわく空間提案業」とでもいいましょうか。商品開発が大事なポイントだと考えて、取り組んでいます。
村井:「雷」という串焼き店を3店舗経営しています。経営指針書には「コミュニケーションを提案・提供していく仕事」と謳っています。
毛利:皆さんを理解するために、「座右の銘」をご紹介いただけますか?
中島:「どうせやるなら、一生懸命、そして楽しくやろう」ですね。
湯田:「もっともっと、幸せになるために」を大事にしています。
村井:「明日は明日の風が吹く」。何かをかなえるために、必要な楽天さ、というところです。
今津:「昨日より今日、今日より明日は絶対良い日」。そう信じたいですね。
■コロナの影響
毛利:皆さんの会社の事を伺いたいと思います。コロナの影響や、その対応についてお話しいただけますか?
今津:自動車関係は、先々の仕事の契約はしているんです。ただ、コロナの影響で、延期になって、スタートできない。そこで、自社製品作りに力を入れています。自社の技術を生かして、愛好者の多いドール用の家具と様々な雑貨を製作販売する「あるてぃざん工房」を立ち上げました。これを機に、コスプレイヤー用の装具などの注文も入るようになりました。売上はまだまだ微々たるものですが、今後、BtoCの柱になればと思います。
湯田:我社はコロナの影響は特になかった方だと思います。当社の注文は半年前の営業成果の注文が今入る感じなんですが、コロナによって3月から9月くらいまで出張営業が出来ていなくその影響がこれから心配されます。しかし営業出張が出来なかった期間を利用して2年ぶりにカタログを作り替える事が出来た事はよかったと思います。今はネットからの顧客誘導や注文もあり、そうしたことにも助けられていると思います。
村井:コロナの影響で、もう、笑うしかない、という状況でした。でも「このままでは…」と社員の意識が変わったのが大きかったですね。会議の意見が提案型に変わったと思います。テイクアウトやデリバリーに取り組み、YouTubeを使った情報発信などに着手してくれました。それがなかったら、私、うつになっていたでしょうね。今は組織の在り方の見直しや、商品開発に力を入れています。
中島:我社は労働集約型の仕事なんです。若い人に技術を伝えていかないと未来はない。そこで、「技術を持っている」人より、「社風に合う人」に軸線を置いた「採用指針」を作って採用をすすめるようにしました。コロナの影響で、雇用環境が大きく変わっており、チャンスだと思っています。
■ITをこう活用している!
毛利:会社でのIT活用はいかがでしょうか。
湯田:我社の商品は、時間とともに「ひなびた」感じが出るのが特徴です。だからこそメンテナンスが大事なんです。そこで、メンテナンスの仕方やドア調整の仕方の動画をアップして、見ていただくようにしました。また、営業や施工業者さんともLINEやFaceTimeを活用して、情報共有を進めています。九州にも営業所があるのですが、会議はZoomで行うようになり、出張費や移動時間を削減することができました。
今津:1月末からZoomの活用に取り組みました。これまで韓国から輸入していた商材の確認に現地に行っていたのを減らすことができました。でも3回に1回はちゃんと直に目で見る必要はあると思います。営業社員は携帯電話をガラケーからスマホに変えました。Google calendar を使って予定を共有しているんですが、おかげで社長の行動が丸見えになっちゃった(笑)。
村井:テレワークはどうしているの?
中島:我社は現場仕事がメインですから、経理・総務の方だけです。
今津:一部だけ。設計や営業でも試しているけど、どのくらいの稼働率になるのか、検証中です。現場担当でテレワークにできない社員との不公平感もポイント。デジタルサイネージで互いの予定を共有してる。こうした取り組みには、補助金が大いに使えますよ。
村井:今津さんの奥様から、補助金の活用には、会社の維持のためのもの、将来への投資的なものの二つがあると伺っています。IT・ICT・ものづくりなどの助成金を有効に使っていく必要を感じますね。
■人が真ん中の経営をめざして
村井:というのも、新たなチャレンジを進めることこそ、社員の意識向上のカギだと思うのです。未来を示さないと、世の中がこんなに大変な時期には、希望が持てなくなるんじゃないかと思います。
毛利:いよいよ本題の「人が真ん中の経営」に入った気がします。その視点で、皆さん、いかがですか。
湯田:我社の工場は夏は暑くて冬は寒い。実は数年前からエアコンの導入を検討していたのですが、今年、思い切って助成金を活用して導入しました。社員からすれば「社長は自分の行ったこと を忘れていない」と安心したんじゃないかな。
今津:まず、雇用の不安を払拭しないといけない。方向性をしっかり示さないと、それは会社の未来に不安を感じるだろう。こんな時こそ、社員の声に耳をしっかり傾けることが大事です。意見を却下するのは、下策。湯田さんではないけど、僕ら経営者は社員に見られているのを強く意識すべきだと思いますね。
湯田:仕事で言えば、「手仕事」を大事にする必要がある。人間にしかできないことはどの世界でもあります。時代は、そうした「輝く」何かを求めている気がします。その潮流に乗ることができなければ、5年10年先はないんじゃないかな。
中島:我社の商材は現場にある。だから、社員がお客様から仕事の指名を受けることも多いのです。受けてきた仕事を、セクションのトップ同士でつないでいく、社内ネットワークが大事になってくる気がします。
毛利:皆さんのお話を伺っていると、情報共有がキーワードのようですね。IT・ITC も使いますが、本当の意味のコミュニケーションをとるのは大変です。
■自社の本当の意味は
毛利:一方で、業種業態も問われているような気がします。例えば、東京では無人の居酒屋なんていうのも登場しています。
村井:接客業というのは、接触業なんです。だから、コロナの影響は甚大です。わが社は市内中心部に店舗があることが強みだったのに、今はそれが最大の弱みになってる。だから、現在の強みを過信してそれに依存しきっていないか、いつも気を付けていく必要があると思います。
今津:今回のコロナもそうですが、自社戦略の根幹に当たるものが、一瞬に変わることが起きえます。変化があれば必ず影響がでる 。それは早いか遅いかに過ぎないと思います。
■この1年をどうするか
毛利:新たな一年に向かって、どう支部運営を進めていきたいか、ご発言をお願いします。
湯田:基本である例会を丁寧に作っていきたいですね。Zoomを基本に、ハイブリッド開催も進めて、ワイワイと楽しくやる。その中には、自分の会社に持って帰るものがたくさんあるはずですから。
中島:理想は、学んだ先が経済交流につながることです。そのためにも、互いの人柄や事業内容、経営指針などが交流できるようにしないと。だから会員の情報化も大事です。名簿アプリは大いに活用したいですね。
今津:安佐だから、例えば広島県主催の勉強会でも持ってくることができます。そうした学びの場を作るとともに、商売につながる何かを考えたい。取引ですから、しっかりと、明るくやりたいですね。
村井:中支部では、「同じ買うなら同友会で」という「会員間取引の3原則」を今年度方針に盛りこみました。でも、あまり浸透していない気がします。支部のビジョンづくりも進めていきたい。小さなイノベーションが連鎖していく中支部になりたいと思っています。広報は最強の増強ツールですから、「ひろしまねっと」が外部の方に見ていただけるものになればと思います。
毛利:みなさん、ありがとうございます。同友会は「こんな時だからこそ同友会」と言える会だと思いますが、それが十分に知られていない、活用されていないことも感じます。広報委員会として、ますますがんばっていきたいと思います。