「中小企業の日」に寄せて(5)「コロナ禍における中小企業の魅力発信」
政策委員長 宮﨑 基
昨年の6月14日、7月20日の日を「中小企業の日」に、また、7月は「中小企業魅力発信月間」と指定されました。本来であれば、中小企業の存在意義や魅力などを内外に発信すべくイベントを集中的に実施すべきところですが、コロナ禍の影響でイベントを実施できないことが悔やまれます。
さて、「中小企業は、経済を牽引する力であり、社会の主役である。」これは、中小企業憲章が閣議決定された時の文言であります。まさしく中小企業こそが、地域の経済や暮らしを守り支えているといっても過言ではないでしょう。しかしながら、中小企業の倒産件数は減少傾向を続けている一方で、経営者の高齢化や後継者不足を背景に、休廃業や解散する企業は、年々増加傾向にあります。また、その様な中、昨年十月に実施された消費税増税、米中貿易戦争はそれに拍車をかけています。一昨年の休廃業企業の数は、三万件台から四万件台で推移しています。中小企業の数が減ることは、地域経済の活力を失うという面で大きな損失になっています。
このような状況下で、新型コロナウィルス感染拡大という想定外の売上減少がおこりました。自粛による経済の停滞で、倒産件数も日を追って増え続け、経営破綻のタイムリミットが目前の企業も数多くあります。特別貸付や雇用調整助成金、持続化給付金などで、とりあえず小休止といった企業も、コロナ後の景気次第では、不安が拭えない状況は依然としてあります。
ただ、このような状況にあっても、新しい商品の開発や技術に磨きをかけ生き残ろうとしているのが、中小企業なのです。コロナ禍がなければ、そうした中小企業のすばらしさを、子供たちや教育の現場で発信することができました。 残念ながら、今年は、具体的な行動はできません。今は、度重なる経営環境の変化にも負けず、自助努力を本分とし、地域の暮らしを守る。そのような姿勢をそれぞれの地域で見せることこそが、中小企業の魅力発信として地域で理解されるのではないかと思います。コロナに負けず地域経済を復興させる回復力こそが今の中小企業に求められることではないでしょうか。