共に生きる地域づくりフォーラム2020 「誰もが安心して暮らせ、夢の持てる地域づくりを」
県障害者問題委員会では2月8日に広島市で「共に生きる地域づくりフォーラム」を初めて開催し、会内外から44名が参加しました。当日のパネルディスカッションの様子を紹介します。
■パネラー ㈱ヒューマックス 代表取締役 澤田英治氏(広島東)
㈲三福林 代表取締役 田川富生氏(福 山)
㈲榮成興産 代表取締役 板垣多一氏(広島東)
■コーディネーター 県障害者問題副委員長 崔 希美氏
崔)まず皆さんの取組みについて教えてください。
澤田)広島市南区でビルメンテナンスの会社をしています。自社では約20年前から障害者雇用を行っています。現在、市内の病院で四名の障害を持った社員が清掃の仕事をしています。
自社で雇用するにあたり、あまり特別な意識は持っていません。どうやったら障害を持った社員と一緒に長く働けるか工夫する「考慮」を重ねた結果、今の会社があると思っています。入社時の研修の際にも社内のジョブコーチが相手の特性に合わせて、写真・文章・言葉の中で一番伝わりやすい方法を選んで説明しています。
田川)福山市で企業向けの日替わり弁当の製造販売をしています。現在、障害を持った社員は2名です。一人目はハローワークからの紹介された聴覚障害の社員です。その後、特別支援学校のバスツアーをきっかけに、トントン拍子に生徒の採用が決まりました。残念ながら一人目は退社となりましたが、その翌年に採用した社員はもうすぐ入社丸3年を迎えます。彼は弁当箱の洗浄をしていますが、次は盛り付けに挑戦しようとしています。
板垣)広島市南区で建設業をしています。自社では雇用ではなく、障害者向けのグループホームの設立を通して、障害者問題に関わっています。
この取り組みを始めたきっかけは、障害児向けの放課後デイサービスの様子や町で見かける障害を持った子どもと高齢の親の姿から、障害者の自立の必要性を強く感じたことです。障害を持った子どもが自立し、一人で暮らすことはハードルが高いのですが、障害者向けのグループホームは足りていないことがわかりました。そこで自社でグループホームを建設することにしました。自社は建設に専念し、運営は専門の民間事業者に任せています。
崔)これからの展望を教えてください。
澤田)今年の四月に特別支援学校から入社予定です。健常者は多くの企業から転職先を選べるかもしれませんが、障害者はそうと限りません。人手不足の中、能力を発揮できる環境ができれば、立派な戦力になると思います。雇用する企業が増えれば、そこから新しい仕事が生まれるかもしれません。そんな企業が同友会の中からもっと生まれてほしいと考えています。
田川)障害者問題委員会では、まず知ることから始めよう、と言い続けています。経営者が知らないうちから閉ざしてしまってはいけないと思うのです。当社では刑務所の出所者も雇用しています。彼を採用する時、社内でも反対の声はありましたが、彼は働くことで納税者になります。障害だけでなく、就職困難者も活躍できる場所ができれば、社会にもいい循環が生まれるのだと思うようになりました。
板垣)私は障害を持った人が住むところが足りないことを知り、建設を始めました。居場所であるグループホームを作るためには土地が必要です。地主さんには社会問題を話してから建設許可のお願いをしています。自社の取組みを通じ、障害者が住みやすい環境づくりにつなげることができればと思います。