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2019.11.21

会社倒産の危機!起死回生の一手とは~広島西支部佐伯地区会10月例会


報告者:広産㈱ 取締役 羽根 朋代 氏

■取引先の突然の倒産

 昭和38年、故郷の呉で祖父の会社が倒産。広産は父と祖父が食いつなぎで始めた運送会社でした。メーカーがスクラップに出したトラック2台から始めた、まさにゼロからのスタートで、それが野村運送、現在の広産のはじまりです。
 そんなある日、取引先の倒産の封書が届きました。気前よく仕事をくれていた会社で毎月約400万円の仕事を手形での支払いでしていたので、その封書で6ヶ月分の手形(2000万円)が紙切れに変わった瞬間でした。  

■会社を継続させるために

 坂口さんは商工センター内の輸送ターミナル協同組合の事務局長で、定年後も延長で在職していました。いつも父に声をかけ、会社の事を気にかけてくれる存在でした。
 父が坂口さんに現状を相談すると、夜事務所に来て、共に対策を考えてくれました。
 その日から毎日父と母と坂口さんと私で夜遅くまで銀行に提出する様々な資料を3ヶ月かけて作成しました。出来上がると父が銀行をまわり、支払いを伸ばしてもらうようお願いしました。
 また坂口さんは事業縮小を提案し、利益率の高い平ボディーと配車の仕事を残し、利益の低いものはやめました。さらに新車を入れて2年で売却する事で利益が出る仕組みを発案しました。
 そして運送業界の求車・配車システムの波に乗り、売上に大きくつながる自社開発のCTIシステムを起動させました。5年の時を経て売上が着実に増倍しました。
 先行きの兆しが見えかけたころ、父のオファーで坂口さんが広産に正式に入社し、財務を担当してもらいました。銀行や取引事がスムーズになり、確実に経費の下払いを減らす事が出来ました。倒産しなかったのは坂口さんのおかげだと思います。
 そして大きな山を越えた後、兄が会社に来なくなり、事実上の退職となりました。  

■最愛の父の死

 平成26年、父が事故に遭い、突然の余命宣告。母は泣き崩れ、私は頭が真っ白になりました。3週間がんばった父でしたが翌年の1月、72歳でこの世を去りました。
 そして広産を無借金経営にするんだと毎日話していた坂口さんも癌を患い、父を追うように亡くなりました。  

■同友会と私

 私の生活は一変しました。
 同友会には足が向かずお休みをいただき、女性部は退会させてもらいました。
 数か月は無意識の状態で毎日をこなしていました。
 そんな時、当時西地区会長だった岡本さんから「羽根ちゃん。つらい時は無理しなくていいのよ。でもつらい時こそ何かをした方が楽になるよ。」と励ましをもらいました。
 行けばみんなが気にかけてくれる、声をかけてくれる。母を支え、仕事をこなし、一番つらかった時を同友会と同友会のお役目が支えてくれたと思っています。  

■これからの広産 ~兄と共に~

 現在は兄が代表取締役社長、私が取締役を務めています。
 今回の報告にあたり純売上高を並べたとき、売上や粗利、利益率、社員の定着率等のどれもが父の時よりも上がっていました。
 一度は父と兄の考えが合わずに兄が身を引いたけれど、数字を見たらわかります。  そこは私も社長を評価し会社を共に支えていかなければいけないと今日の発表で自分自身を見つめ直せた気がします。
 不渡の後に六億まで借金が増えたけど、坂口さんが思い描いていた無借金経営に近づきつつあります。  運送会社にいる自分が嫌でお店も出したし、会社を辞めたいとも考えた事もありました。広産に入社して二六年。№2として兄を支えながら自分自身が成長をしないといけないと改めて思いました。
 危険と隣り合わせの業種ですが、これからは一歩一歩ゆっくりと、そして着実に、事故がないように、父と母が引いてくれたレールを兄と共に協力し、広産を守っていきたいと思います。