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2019.10.04

「経営者の覚悟から始まった本当の「働き方改革」 ~「社員の幸せ」が企業を強くし、発展させる~」福山支部例会

報告者:㈱オーザック 代表取締役  岡崎 隆 氏

  1991年に新社屋が完成し、その時に年商を超える約5億円の借入をしました。ところがバブル崩壊後に、売上は一気に半減しました。365日、金利だけで9万円を払う生活を7~8年過ごしました。
 資金調達のために、個人の定期預金まで解約。24時間働いても仕事が終わりません。夜中の12時を過ぎて会社にいると、警備会社から電話がかかってくることも日常でした。実は支部長をしていたころも、そんな生活を送っていました。例会に出ては会社に戻り、深夜まで働く。社員の何人かは辞めていきましたが、いまでも一緒に頑張ってくれている社員もいます。その社員たちへの感謝思いが、オーザックの「働き方改革」につながっていきました。

 ■潜在能力を引き出す

 当社が残業削減の取り組みを始めたのは、社内で独立した社員がきっかけです。彼が独立した日、私に「明日から700分の仕事をください」と言ってきました。それまでと比べ、約1.5日分の仕事量です。感心していると、一週間後、彼は夕方4時に帰っていくのです。慌てて呼び止めると、仕事はもう終わったとけろっと話すのです。
 社員の時との違いに一瞬腹が立ちましたが、独立することでどうやったら効率よく仕事ができるか、自分で考えたのです。「社員は潜在能力を持っていて、まだその能力を発揮していない。その能力を引き出し、経営者感覚の社員を育てることで、会社は大きく伸びるのだ」と、彼に気づかされました。

■隔週週休二日に戻れない!

 2012年に完全週休2日制を取り入れることになりました。休日を増やしつつ、売上や利益を確保するためには、約8.5%の生産性アップが必要でした。社員にはこれが達成できないと、元の隔週の週休2日制に戻すことを条件にスタートしました。
 11カ月後、とてもじゃないが目標値に届きません。朝礼で社員に来月から元に戻すことを伝えました。3日後、社員を代表した1名がやってきました。みんな週休2日制に慣れてしまい、元に戻れないと言うのです。それから社員はどうしたら達成できるか考え、8時間労働のまま勤務時間をずらすことで、機械を10時間以上動かすことに成功しました。翌年には生産性が12.5%上昇しました。
 あの時、私が細かく指示をしていたら、ここまで上がらなかったと思います。「休みが増えてよかった」で終わるのではなく、生産性を上げるためには、どうしたらいいか、自分に出来ることはなにかを自主的に考えられる社員を経営者が育てていくことができれば、会社はどんどん変わっていくと思います。

■何のための働き方改革か

 当社には、平成20年から社員の子どもを一時的に預かるキッズルームを設けています。いまでは男女に関わらず、子どもを連れて来るようになりました。緊急の場合に子どもを預かることができると、社員だけでなく、その家族も安心して働くことができます。結婚した女性社員も会社を辞めたくない、と広島でテレワークを使って働いてくれています。
 お客様満足を上げるのは、社員です。経営者は常に顧客満足を意識していますが、本来、日常的にお客様と接しているのは社員です。その社員が会社に不平不満を感じていれば、顧客満足を十分に考えられません。社員の不平不満をいかに取り除くことができるのかは、経営者にとって非常に重要な仕事だと思います。
 このような社員満足向上のための取り組みを重ねていると、広島県の働き方改革認定企業に選ばれたり、政府の働き方改革有識者会議に呼ばれたりするようになりました。「働き方改革」は採用活動の際にもアピールすることができ、自社では人手不足を感じていません。
 社員を幸せにするための「働き方改革」を続けると、社員が辞めない会社になりました。直近五年の新卒社員の定着率は95%です。社員と共存共栄の会社をめざし、いろいろ取り組んでいただきたいと思います。