「第7次中期ビジョンを経営に生かす」~第47回定時総会 第1分科会
問題提起者:旭調温工業㈱ 代表取締役社長 粟屋 充博 氏
会は2023年10月6日に創立50周年を迎えます。そこに向けて、第7次中期ビジョンは経営者・会社・同友会のありたい姿を描いたものです。当社でも中期計画を作らなければいけない状況が生じて、会の第7次中期ビジョン策定に関わる中で参考になることがたくさんありました。
■変えるもの変えないもの
「不易流行」という言葉がありますが、時代が変わっても変えてはならないものと、時代に合わせて変えていかなければならないものがあります。同友会は、人間尊重の経営を大切に推進し(不易)、変化に対応していく(流行)、という考え方に立っていると思いますので、そういう意味で第七次中期ビジョンのスローガンを「Human First」としました。
■中小企業の経営者でよかったと思えるために
第7次中期ビジョンは自社を発展させる指南書のようになっています。「3 経営者の成長と企業発展のドラマ」というページがあります。成長と発展のステップをたどる内容になっています。
「①起業・継承する」があり、「②同友会を知る・入会する」とあります。私は28歳で入会しました。「③自社経営をふりかえり、自問する」と続きます。私はいま「⑥経営者と社員の信頼関係の基盤ができる。経営指針の全社的実践が始まる」あたりにいるかな、社員との信頼関係ができているかなと思っています。
「⑨中小企業の経営者でよかった、同友会と出会ってよかったと心から思い、使命感をもってその体験を周囲に語る」というステップをめざしたいと思っていますが、そのためには、①アイデンティティーの確立、②仕事をする目的を追求する、③社員を信頼できるパートナーとしてアテにしていくことが大切だと考えます。
■社員は信頼できるパートナー
「私は私であって良かった」と思えるために、アイデンティティーの確立が大切です。アイデンティティーとは、「私は〇〇です」の〇〇を獲得すること、見い出す事です。そのために、資格の取得を奨励しています。
仕事をする目的は、生活の糧を得る、自己実現、社会貢献、この3つだと思います。このどれかを犠牲にしてまで仕事をする必要はないと社員に言っています。
社員を信頼できるパートナーとしてアテにするという点では、当社では、「会社と自分の10年先を考える会議」を毎月開催、入社3年から5年の社員が主メンバーです。その会議での発案で、サマータイム制を導入しました。8時45分が本来の始業時刻ですが、夏場などは8時ごろから電話がけっこう鳴ります。それで、半分の者を7時45分始業に変更しました。また、社員の発案による事務所のレイアウト変更も進行中です。
■人件費は投資
来年、息子が後継してくれる予定で当社に入社します。息子(後継者)の入社にあたり、社員が高齢化していたので、この四年で若い人をたくさん(計18名)採用しました。社長は気が狂ったのではないかと思われかねないので、中期計画を策定しました。
人件費はコストだという考え方もあるでしょうが、私は投資だと考えています。会社の利益は何のためのものか、いざという時のための貯えであり、社員全員が「この会社で仕事をしてよかった」と思える会社創りと社員一人一人の成長のために必要な投資の原資だと思っています。
特に社員教育には可能な限りの投資をしています。2名の若手社員の1年間の社外研修派遣や専門知識習得のためのセミナー(最大3日間)への派遣、国家資格取得支援等を行っています。投資をして成果が出ればさらに投資ができ、いい循環になると考えています。