中支部新年互礼会(設立二〇周年記念行事) 不透明な時代だからこそ「羅針盤」が必要だ! ~中小企業が生きる「道」はここにある~
講師 丸山 博 氏(㈲第一コンサルティング・オブ・ビジネス 代表取締役)
●投資が投機に化ける
皆さんは投機という言葉をご存知でしょうか。投機とは投資と異なります。売るために買うことを投機と言います。極論すると「ギャンブル」です。
投資と投機が混在しているため、世界の金融をわからなくしています。
●原点回帰
政治や金融は危機的状況であり、AIやIoTなどの情報技術の変化も起きています。このように我々経営者は不透明な時代の中にいます。 では、我々経営者は一体何をすべきなのか。それは、会社(企業)の原点に立ち戻ることです。お役に立つ仕事で地域の経済に貢献し、出した利益で働く人を豊かにし、幸福にすることが重要です。
●どう捉えるか
使い古された経営学のテキストにこんなお話があります。
19世紀にシューズメーカーの営業マンが南方に2人で営業に出掛けました。帰ってきて1人目が報告しました。「みんな裸足で靴を使っていないので靴は売れません」。次に、2人目が報告しました。「すごい売れると思います、誰も靴を持っていないので」。
このように同じ現象を見たとき、1人目のように「売れないな」とネガティブに捉えるか、2人目のように「これは売れる」とポジティブに捉えるかで大きく変わります。情報技術などの変化に対しても同様です。「チャンスだ」と捉え、使いこなせるか「嫌だな」と捉え、使いこなせないかで大きく変わります。
●チャンスをつかむ
では、チャンスを感じる感性はどこから生まれるのか。それは、「考える習慣」と「インプットをする習慣」から生まれます。素材をインプットしていないのにアウトプットができるはずがありません。では、どこにインプットするチャンスがあるのか。様々な異業種の経営者の話をきくことができるという環境にある同友会です。
●経営指針とは
同友会がすすめる「経営指針」の体系は、経営を考える「フレーム・ワーク」(枠組み)として最も適しています。同友会の50周年のすべての歴史が投影されています。すべての業種で使用することができます。
経営指針の中身は、経営理念(目的)、10年ビジョン(理想像)、経営方針(ストーリー)、経営計画(具体策)となっています。
●労使関係の見解とは
同友会が提唱する労使見解のバックボーンには、人間尊重、民主主義、日本国憲法の精神が貫かれています。 同友会の自主、民主、連帯の精神を自社に活かすために同友会を最大限に活用しましょう。
●社員は十人十色
働き方改革や最低賃金の上昇がささやかれる中で労働生産性を上げることが必要になっています。そこで、労働生産性を上げるためには何をすべきか。
一番優先すべきは、「社員が辞めない会社づくり」です。社員が辞めてしまうことが一番の無駄です。
次に必要なことは、社員の個性と能力を活かす「組み合わせ」です。この「組み合わせ」こそ経営者がすべきマネジメントです。このようなことは障害者雇用では当たり前のことです。障害者が持っている1人ひとりのかけがえのない能力を引き出し、その能力に適合した仕事を与えていくことが障害者雇用の目標にするところです。1人ひとりに寄り添った仕事の考え方、やり方、与え方を模索してみてはいかがでしょうか。
社員の個性や能力を無視し、一律の成果を強要する「競争」では業績が下の人間から徐々に辞めていきます。「競争」というシステムが会社を毒しています。
●平和が一番
世界は今、一触即発の危機にあります。商売は平和だからこそおもしろく、楽しくできます。我々中小企業こそ「平和でなければ良い商売はできない」と固く誓い合い、平和を守っていくという立場で仕事を続けていきましょう。