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2019.01.05

第7分科会 同友会的ランチェスター経営のすすめ! ~高付加価値企業になるためにはNo.1戦略~


講 師  竹田 陽一 氏 (ランチェスター経営㈱ 代表取締役)

■はじめに

 日本はバブル経済が崩壊後、失われた20年、リーマンショックと景況が不安定な時代が続きました。
 ここ数年は業績が回復、黒字企業は35%になり回復の動きが見えています(国税のサンプル調査で、16年度決算7年連続で赤字企業の減少)。
 中小企業1人当たり年間純利益(表参照・平均)をみると、全業種で約43万円、製造業約52万円、卸売業65万円と回復をみせています。
 一方で、全小売業26万円、全飲食業12万円と苦戦が続いているのが現状です。また訪問介護事業は10万円となっています。世の中に必要とされている仕事ですが、行政が価格を決め、ヒトが中心の事業になっており課題を抱えています。
 こういった形で、1人当たりの年間純利益で見てみますと経営者と社員が共に理解しやすい数値になります。

■経営の基本原則

 会社全体には決まった売り上げはなく、完全な歩合給です。多数の競争相手、大きな企業もあります。特別なハンディは一切ありませんので、中小企業は戦略を練らないと苦戦を強いられます。  経営のやり方については、マーケティング、マネージメントや経営学、MBAなど多々ありますが中小企業の経営にはあまり役立ちません。
 会社は粗利益がエネルギー源です。まずは、従業員1人当たりの利益を業界の平均、周辺の5つくらいの業種と比較しましょう。

■経営を構成する要因

 どこの会社から商品を買うかの決定権は、お客様が100%持っています。この大原則は大昔から変わっていません。「お客様を出発点にすべき」です。①どんな商品・サービスを(商品・有料のサービス対策)、②どこの地域を中心に販売するか(営業地域対策)、③どんな業界や誰に販売するか(業界と客層対策)、が経営を構成する大要因です。
 特に中小企業では、社長の経験や性格が大きく左右します。やはり商品が好きでないとアイデアも浮かびません。この中には、意に添わず事業を継承された方もいるかもしれません。製造業の方でしたら「商品の発明物語」を勉強することをお勧めします。
 私自身、35才でランチェスター戦略と出会いました。原書で勉強をし、ランチェスター先生の墓参りには7回行きました。お墓の前で、ランチェスターのロゴを使用することもお願いし、背中にマークを付けています。
 歴史を知り、商品を好きになると事業意欲が高まります。

■経常利益を高める

 効率的に経営をして業績を良くするにはウエイト付けが大切です。オペレイションズ・リサーチの手法とランチェスターの法則によると、営業と商品の2つに限定すると営業67%、商品は33%のウエイト付けになります(商品3分・売り7分)。
 繰り返しになりますが、1位になる「商品・サービス」「地域」「客層」が大切です。そして市場占有率が1位になると従業員1人当たりの経常利益が2倍~4倍になります。 上場企業を見ると、おむつ業界№1のユニ・チャーム、サロンパス貼り薬の久光製薬。福山市のエフピコは営業が強い会社です。また、岡山以西で№1のイズミは利益が高くなっています。
 1人当たりの年間経常利益は、上場企業で700万円~1000円、中小企業で60万円~80万円が多いです。皆さんの会社も比較してください。
 例えば、小口の取引の多い会社は、特定の地域に営業エリアを集中させることが、経常利益を高めるには大切です。営業エリアが広がっていると、移動距離ばかり長く時間がとられます。お客様とお会いする、利益になっている時間が1日の2割程度ではないでしょうか。1日の5割が移動時間という会社もあるでしょう。
 これをどうするか、課題と戦略は社長が考えましょう。

■経営における実行の手順

 競争力がある強い商品づくりや強い地域づくりを実現するには、それを可能にする正しい実行の手順が必要です。
 軍隊の将校が作戦計画を立てるとき、必勝の信念と決断力、目的、目標、戦略、戦術・・・と続きます。
 これを経営に応用すると、何としても業績を良くし、良い会社にしたいという「社長の願望と熱意、向上心」が最も重要です。日本はここ20年のGDP伸び率は1%台です。リーマンショック以降、社長の願望と熱意が急速に減退していると感じています。

■ランチェスターの第一法則 弱者の経営戦略

 ランチェスター法則では、1位の会社以外には、弱者の戦略を応用します。具体的には、一騎打戦的商品の重視(専門商品、特殊用途・受注型商品)、一騎打戦的営業地域の重視(人口の少ない港町、盆地、川べり、山すそ)、人間関係重視、軽装備の運営です。

《質疑・応答》

質問① 経営者の熱意やモチベーションアップの方法は?
   大脳生理学の研究によると、人は「感動」を憶えたときに脳に伝わります。感動を持った経験する、経営者であれば他人(競争相手)よりも時間を費やし、事業の成功(感動)体験を作ることです。

質問② 1位づくりの手順
   常連のお客様に聞くのも一つです。「弊社から商品を買って頂いている理由は?」商品が良いのか、営業マンの人柄なのか、納期が早いのか・・。それがヒントになります。ぜひ、ランチェスター戦略に取り組んでください。すぐには成果は出ませんが、3年、5年と継続が大切です。

【錫木座長のまとめ】

 本日の分科会テーマは、「№1戦略で高付加価値企業になろう」、でした。
 同友会では経営指針書を経営理念+ビジョン+戦略+計画としています。また、同時に人間性、社会性、科学性をもった経営指針書を作成しようと提起しています。
 しかし中小企業は、科学的な戦略立案と実行が弱点と感じています。私自身、17年間ランチェスター戦略を勉強し続けています。本日の講義の中で、価値=資金×戦略×戦術×時間という提起がされました。社長が一番勉強して、本業に時間を費やすことが付加価値を高めることに繋がります。共に学び実践しましょう。