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2018.12.03

「災害等に直面した場合の危機管理対応及び方法(BCP)」~10月三原支部例会

報告者:㈱賀陽技研 代表取締役社長  平松 稔 氏(岡山)

 岡山同友会 吉備高原支部から参りました、㈱賀陽技研 平松と申します。わが社は、うすい金属の板をプレス機を使って切ったり曲げたりする金属加工業です。プレス機に必要な金型を自社製作できることが特徴で、試作から量産まで幅広く対応することができます。主に電気自動車ハイブリット自動車関連の部品の製作を行っています。

事業継続計画(BCP)とは

 BCPとはBusiness Continuity Planの略称で直訳すると事業継続計画となります。防災計画だと思われている方も多いようですが、防災ではありません。BCPを実際に継続的に運営していることをBCM(事業継続マネジメント)といい、誤解を避けるためにこちらを使う方もおられます。書面の計画で終わらず実際に計画を運営しているということ重視したものです。
 BCPは、大地震、暴風水害、新型インフルエンザ、テロなどあらゆる危機に企業が遭遇したとき、被害を最小限に留め、事業継続していくことを目的とした計画です。
 中小企業が、事業を継続にするには、「スタンバイ状態の整った代替施設(協力会社・同業他社と相互支援協定・契約も含む)」が最適だと思います。この考え方に基づきわが社は、新潟の同業者とお互い様BC連携を結びました。

何日で納品が再開できるか

 BCPを考えるにあたって必要なことは、RTO(目標復旧時間)です。事業を継続していくために必要不可欠な重要業務をどのくらいの時間で復旧させることが可能かということです。
 BCPの肝は、一つは、重要業務の洗い出し、二つ目は、定量分析と定性分析でRTO目標復旧時間を設定するということです。
 定量時間とは、復旧時間の経過(後れ)により、どれだけの金額的な損失が予想されるか、定性分析とは復旧時間の経過(後れ)により、どれだけの信頼(顧客)が失われるかで、この2点からRTO(目標復旧時間)を決定します。
 つまり、何日間業務が止まっても資金的に継続ができるか、何日間(何時間)お客様と連絡が途絶えても、それまで通りの取引をしてもらえるかという日数、時間です。

ブランド力としてのBCP

 私がBCPに取り組んだきっかけは、災害の少ない岡山という地域の中で、BCPに取り組むことでブランド化を図るという勉強会に出会ったからです。災害対応からではなく自社のブランド化がきっかけでした。
 勉強会の中で講師の方が、製造業の社長は事業再開にやっきになるが、二ヶ月後、納品が再開できたときには、お客様はすでに他社と取引を始め仕事はなくなっている。重要なのは、如何に納品を止めないかということだ、と話されました。この話が同友会でいう「経営者である以上いかに環境がきびしくとも時代の変化に対応し経営を維持し発展させる責任がある」という労使見解と重なりました。
 そしてBCPを作成するのですが、成果として計画が書面としてできたことではなく、もし、工場が止まっても新潟県燕市の同業者が代わって製品をつくり納品を継続してくれる「お互い様BC連携」が締結できたことです。このことが、BCAOアワード2014 事業継続部門 大賞の受賞につながりました。また、「国土強靭化貢献団体認証(レジリエンス認証)」を製造業者として初めて認証を取得することができました。

経営指針あってのBCP

 小規模企業における突発的な脅威は、社内のオンリーワン的な人、社長や特殊な技術、多くの情報を握っているようなキーマンに何かあったら大きな痛手を被るということです。現場では多能工化などの取り組みが有効ですが、事業継続ということを考えると10年ビジョンがあり、戦略や戦術が共有できている生きた経営指針の全社的実践が不可欠だと考えます。