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2018.07.02

第46回定時総会 第1分科会「情勢を深める~中小企業を取り巻く情勢と経営課題」

報告者:旭調温工業㈱ 代表取締役社長  粟屋 充博 氏(広島)

■議案書を自社経営に生かす

 この分科会では、議案書の「中小企業を取り巻く情勢と経営課題」を踏まえて、我社で取り組んでいることについてお話しします。
 議案書には、経営に役立つ情報や世の中の情勢についても記されており、自社の課題を整理することに役立ちます。また、他社が何を経営課題と捉えているかが分かります。過去3年の議案書で共通して取り上げられているのは、①人材の確保と育成・定着、②付加価値を高める、③新しい仕事づくりの3つです。これらは我社の課題でもあります。

■人材の確保と育成・定着

 3年前から新卒採用が難しくなりました。その年の社員の平均年齢は45歳。このまま人を採らなければ10年後には平均年齢55歳です。会社を存続・発展させるためには人の採用が必要不可欠。「やれることは全てやる」「人件費はコストではない」「社員の成長スピード以上に会社は発展しない」の三つを掲げ採用に取り組みました。
 「会社と自分の十年先を考える会議」を月一で開き、社員からも意見を募ります。そこで出た案から、長年していなかった高卒採用を3年前から復活させ、私自ら学校訪問をしました。すると、徐々に学生を紹介してもらえるようになったのです。また、求人倍率8倍という高校求人の厳しい現状も知ることができました。
 求人専用の会社案内パンフレットも作りました。お客様用のものではなく、我社に就職したら何ができるのか分かるような、学生が知りたい情報を盛り込みました。
 ほかにも私自らが学校の先生と関係を深めることで先生の紹介で学生を採用できたり、真摯に社員と関わることで、社員が友人を紹介してくれ採用できたこともあります。
 会社で事業計画を立て、それを達成するには、社員の成長が必要不可欠です。そのために一年間の社外研修に行ってもらい、力をつけてもらう。また、自分がこれから何をすべきかが解るように年間教育スケジュールも組んでいます。
 全社員が新入社員に関心をもってもらうために、新入社員の給料を全部署で負担するなどの意識改革もしています。
 他にも労働環境改善のために働き方改革認定企業の申請にも取り組んでおり、有給休暇や育休の取得を促進しています。昨年、子供が生まれた25歳の男性社員が2週間の育休を取りました。 

■付加価値を高める

 付加価値とは、売上から外部購入費を引いたものです。付加価値を高めるために、新しい仕事づくりや営盤の強化を行っています。
 今までは、空調設備を設置するための電気工事は電気屋さんに頼んでいました。電気工事も自社施工できるようにするために資格を取り、現場経験20年のベテランを採用して、その人を中心に電気工事の自営化を進めています。
 営業基盤の強化については、新規顧客開拓と従来顧客の深掘りをしています。もっとお客様の役にたてることを模索し直需顧客を1件ずつ増やすことと、従来のお客様への販売品目・数量を増やしていけるよう努めています。
 労働環境の改善・社員教育・賃上げなどの原資は付加価値ですので、付加価値を高めることは我社にとって急務の課題となっています。
 我社では前々期と前期で人件費が1600万上がりました。新卒3人分の給料や昇給、賞与などでです。しかし付加価値も約4000万円増えました。人に投資したからこそ、それだけの付加価値が生まれたのだと思っています。人件費・教育費はコストではなく投資だと確信しています。

■全社一丸の仕組みづくり

 全社一丸体制づくりに欠かせないことは、①経営者の旺盛な事業意欲、②社員一人ひとりとの信頼関係、③将来が見通せる、将来に希望が持てる会社づくり、④高いモチベーション、⑤全社員でコミュニケーションがとれる環境作りの5つだと考えています。
 簡単なことではありませんが、激変の時代だからこそ全社一丸の高付加価値企業を目指したいと思っています。