合同入社式(福山会場)基調講演(2018・4・3) 「切り拓け!君の未来を!」 日鐵鋼業㈱ 代表取締役 能登 伸一 氏(副代表理事)
いつもより早い桜の開花宣言となった2018年の春。広島同友会では今年も県内3会場で合同入社式を開催し、広島では34社59名、福山15社38名、呉16社30名の新入社員が参加しました。今年は福山会場の基調講演の内容を掲載します。
■何のために働くのか
皆さん、ご入社おめでとうございます。期待もある一方で、不安もたくさんあるかと思います。私は大学卒業後、東京の鉄鋼商社に就職しましたが、入社当日は皆さんと同じで不安いっぱいだったことを覚えています。
これから社会人となり、給料をもらう皆さんに考えてほしいことがあります。それは何のために働くのか、です。「もちろん生活のため」と多くの人の声が聞こえてきそうですが、本当にそれだけでしょうか。私は働くことは人の本能だと思っています。言い方を変えれば、人は魂の部分で人の役に立ちたいと思っている存在なのです。
■私の経験から学んだこと
ここで、私がこれまでの人生で学んだ社会人の心得をご紹介します。
1つ目が原因自分論です。何か問題が起こったときに原因を他に求めず、まず自分を振り返って何ができるかを考えます。原因自分論の考え方をするとその時点で元気になるし勇気も沸いたりします。人のせいにしていると楽かもしれませんが、結局自分は不愉快になります。
2つ目が「今日の仕事は今日のうち」です。受け取ったボール(依頼)は、すぐに返してください。社会人として一番してはいけないことは、信用を失うことです。自分でやると言ったのに、やらなかったときが一番信用を失います。頼まれたことは、その日のうちに手をつけましょう。そうすると信用され、頼まれることが増えていきます。私の経験から学んだことですが、やるべき仕事を済ませ、机の上をきれいにして帰る人は豊かな人になり、仕事をやり残して散らかったままの机で帰る人は豊かになれません。私もこのことは常に心がけています。
最後は、天職は自分で決めるということです。皆さんの中には、もしかしたら思っていた仕事ではなかったり、自分には向いていないと思ったりする人がいるかもしれません。でも、まずはいまの仕事に打ち込んでみてください。与えられた仕事を通して、「人の役に立つんだ」と覚悟を決めた時、それがその人の天職になるのです。天職は人から与えられたり、どこかであらかじめ決められたりするものではありません。自分がその仕事を天職にするのです。
その覚悟をするのに有効な方法があります。それは目標を持つことです。同友会の勉強会である経営者が「新入社員はよく仕事を覚えることを最初の目標にする。そのうち一人で仕事ができるようになると、その目標がなくなり、次第に仕事がつまらなくなってしまう。そこで大切なのは、次の目標を持つことだ」と話していました。どんな仕事も1年や2年ではわかりません。経営者だって同じです。いまよりもっと人の役に立つためにはどうしたらいいかと考えると、さらに上の目標が生まれると思います。
■最後に
私は人の幸せは4つあると教わりました。それは、人の役に立つこと、人に褒められること、人に必要とされること、人から愛されることです。人に愛されること以外は働いている中で得られます。最近では、愛されることも仕事を通して得られると言われています。
皆さんは人の役に立ち、幸せになるために生まれてきました。ここにいる経営者も、皆さんに幸せになってもらいたいと思っています。これから会社でいっぱい人の役に立って、いい仕事をして、お客様や会社の人に褒められてください。そして会社にとって、あなたがいなくてはならない存在になってください。
本日のお話しが少しでも参考になり、社会人として生きがいのある人生を送っていただければうれしく思います。