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2017.10.07

経営環境アンケート調査 経営問題のトップは従業員不足

 政策委員会(佐藤清子委員長)は、7月10日から3週間、毎年恒例のアンケート調査を実施しました。599人の会員の皆さん、ご協力をいただき、有難うございました。概要を紹介します。
(※DI=傾向をみるための数値。DIが100に近づくほど良い(上昇)、△100に近づくほど悪い(下落)ことを意味する)
 
経営状況の改善には経営指針成文化が王道
 会員の皆さんの経営状況DIは、昨年より1ポイント増え、+16となり、改善傾向を続けています。ただし、製造業は+26、建設関連業+21、サービス業+20でしたが、卸・小売業は0を示し、業種間で格差があります。
 経営指針を成文化された方の経営状況を抜き出したのが、表①です。ご覧のように経営理念の成文化だけでは経営状況は好転につながるとは言い切れませんが、経営理念と合わせて経営方針と経営計画の3つを成文化された方の経営状況は+39となり、経営状況の好転は明らかになりました。

表②経営上の問題点(上位10位まで)

経営状況 とても良い 少し良い どちらとも言えない 少し悪い とても悪い DI
全回答企業(599社)   37  205  212   111   34 16
経営理念を成文化している(266社)   16  106  70   58   16 18
経営方針を.成文化している(169社)   13  68  55   27   6 28
経営計画を成文化している(220社)   16  91  60   43   10 25
理念・方針・計画を成文化している(146社)   12  75  42   25   5 39

 なお、現在の経常利益の状況について、55%の会員が黒字、19%の会員が赤字と答えました。
 
従業員の不足を43%が指摘
 経営上の問題点(表②)のトップは昨年に続き「従業員の不足」(43%)でした。後継者の確保難(12%)、熟練技術者の確保難(16%)などが、じわりと増えています。人件費の増大を問題点にあげたのは24%で、八年前(11%)と比べ倍以上になっています。

表②経営上の問題点(上位10位まで)

選択肢 回答数 回答率
1 従業員の不足 259 43.2%
2 同業者間の価格競争の激化 187 31.2%
3 人件費の増大 142  23.7%
4 民間需要の停滞 96 16.0%
5 熟練技術者の確保難 94 15.7%
6 新規参入者の増加 79 13.2%
7 取引先の減少 79 13.2%
8 税・社会保険の負担増 72 12.0%
9 後継者の確保難 69 11.5%
10 その他 54 9.0%

 たくさんのコメントが寄せられ、「人材確保が難しく、経営努力して新しい顧客を確保しても仕事ができない」、「若い社員が退職し、このままでは後に続かない」、「人がいないから店舗を閉めるという悪循環」、「大型店の出店で時給が大幅に上がり、ますます採用が困難になりそう」など、厳しい声が寄せられました。
 少子高齢化による労働人口減少等に対応した人材確保の観点から、ダイバーシティ(女性や障害者・高齢者の活用など、多様な雇用のあり方)に取り組んでいると答えた会員は22%、取り組みたいとしたのは48%あり、この方々への情報提供や学習の機会が求められるところです。
 
後継者を決めているのは21%
 帝国データバンクの調査によれば、広島県の後継者不在率(約75%)は全国3位です。今回の調査で決めていると答えた会員は21%で、年々少なくなっているのが気になります。
 事業承継について、「後継者に引き継いで、後継者や社員、取引先のために本当に良いのか?疑念が心の隅にある」、「2人娘(未婚)で、良い婿に恵まれるか。良い婿に恵まれなかった場合は誰にするか。株の継承をどうするか。そろそろ青写真を描きたいが、対象者が決まっていないので不安になることがある」など、率直な悩みが寄せられました。

表③後継者を決めているか

選択肢 回答数 回答率
決めている 126 21.0%
決めていない 223 37.2%
まだ後継者を決める時期ではない 202 33.7%
その他  37 6.2%
合計 588  

奨学金の返済支援について
 今回、奨学金の返済に苦しむ若者を支援する施策について聞きました。県内中小企業に就職したら奨学金償還の一部を公費で補助し、就職した企業もその一部を補助するという施策案(兵庫県に事例)ですが、10%が「活用する」、34%が「金額によっては活用する」と答えました。これを受け、広島県に政策提案(2P参照)を行いました。