地域の資源を生かすとは ~尾道の事例に学ぶ
山本屋 販売店の前で
地域内連携推進委員会(永本清三委員長)は6月12日、尾道を訪ねました。「地域の資源を生かし、仕事につなげ、元気な地域が復活しようとしている」のを視察するためです。
尾道駅前に集合した13名は、(特非)工房おのみち帆布の前理事長、木織雅子さんの案内で、全長1.2㎞の商店街を歩きました。他の商店街と違い、ちょっと落ち着いた雰囲気です。全国チェーンのお店(ドラッグストアやサラ金など)がなく、それぞれが一体となって溶け込んでいるのです。
商店街の真ん中あたりに「工房おのみち帆布」があります。木織さんは18年前、帆布という尾道で細々と生産が続く綿織物に出合います。「日用品に作り変えたら帆布の伝統を再生することになる」と工房を立ち上げ、カバンやバッグ、もの入れなどをつくっていきます。最初の年の売上は150万円、昨年は8500万円を超え、1億円突破がみえてきました。「1人で見る夢は夢で終わるが、大勢で見る夢は実現する。商店街の売るものは文化だ。ここに来ないと買えない、地元にこだわったものを売る」という言葉が印象に残りました。
工房おのみち帆布の近くに「あなごのねどこ」というゲストハウスとカフェを併設した再生古民家があります。入口は狭いのですが、奥は長い名前の通りの建物で、若い人や外人さんになかなかの人気です。尾道にはこうした古民家が中心2㎞に五百軒くらい点在しているそうですが、その再生を手がけているのが、NPO空き家再生プロジェクトの代表理事、豊田雅子さんです。豊田さんはUターン組で、陽が当たり海の見える尾道が大好きです。「坂は生活には不便。しかし、大切な尾道の財産だと思っている。そのことに共感する仲間たちとNPOを立ち上げ、『空き家談義』を百回近く、『建築塾』、『空き地再生ピクニック』などを立ち上げ、少しずつ空き家の再生が広がっている」と話します。
見落としがちな地域の資源をプラスに転化するお2人。共通なのは「尾道へのこだわり」でした。
豊田代表理事のお話を聞く